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    生活

    デジタル化が進む日本の優位性とは

    野村総合研究所社長 此本臣吾
     日本人ネット起業家で米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボの伊藤穣一所長が3月9日、帰国した。メディアラボの研究活動を支援する野村総研の此本臣吾社長が同日、「10年後、20年後のデジタル社会」をテーマに伊藤所長と対談を行った。対談内容を踏まえ、此本社長に近未来の日本のデジタル社会について寄稿してもらった。

    デジタル化の経済効果はGDPに表れない

    • 伊藤所長(右)と対談した此本社長
      伊藤所長(右)と対談した此本社長

     3月9日、MITメディアラボの所長を務める伊藤穰一さんと対談した。その際に「経済状況全体を測る指標として、GDP(国内総生産)はもう適切ではないのではないか」ということで意見が一致した。なぜか。

     現在、経済のデジタル化が急速に進展しているが、デジタル化は生産者のコストを劇的に下げる効果をもたらす。分かりやすい例を一つ挙げると、音楽コンテンツの流通形態がCDから、インターネットで音楽データを受信しながら再生するストリーミングに変わったことで、消費者に直接、音楽を届けることが可能になり、CDというモノを製作したり、卸や小売にマージンを支払ったりする必要がなくなった。加えて、価格比較サイトの普及なども手伝い、消費者は以前よりも安い値段で音楽コンテンツを入手できるようになった。このようにデジタル化が進むと、商品やサービスの価値は同じでも価格が劇的に下がるので、消費者が感じるメリットに相当する消費者余剰(消費者が最大支払ってもよいと考える価格と実際の取引価格の差分)は拡大する。この消費者余剰はGDPでは計測されないが、野村総合研究所(NRI)の試算では、2015年時点で日本のそれは実質GDPの約10%の規模になっているとみられる。同様の手法でMITが推計した米国の数値(約6%:2007~2011年の平均値)を上回る水準である。

    2018年03月23日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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