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    自動車

    最近、後ろから近づくクルマが怖い顔に見えるワケ

    モータージャーナリスト 御堀直嗣
     まん丸の目で 可愛 ( かわい ) らしい印象だったのに、最近はなんだか、いかつく、反抗的な表情になった。クルマのデザインの話だ。グリルは牙をむいたように大きく口を開け、ヘッドライトは鋭く、切れ長、ボディーは角張っていて厚みがある……。ルームミラーに映るその姿は、威圧感すらある。なぜ、最近のクルマは怖い顔になったのか。モータージャーナリストの御堀直嗣氏に解説してもらった。

    最近のクルマは似たり寄ったり

    • レクサスは大きなスピンドルグリルが威圧的だ
      レクサスは大きなスピンドルグリルが威圧的だ

     コンピューターグラフィックの導入でクルマのデザインは大きく変化した。

     かつては、空気の抵抗や流れを調べる風洞実験を行ったとしても、気流を直接見ることはできなかった。その結果、空気抵抗を加味したといっても、クルマのほとんどは、人の想像によって形作られた。

     しかし、詳細なコンピューター解析ができるようになり、車体周辺で複雑に変化する風の流れや、車体の後ろで渦巻く空気の様子を目で見て確認できるようになった。

     それによって、ドアミラーのような小さな部品や、わずかな凹凸でさえ、空気の流れや風切り音に影響を及ぼすことが一目瞭然となる。どこをいじれば、性能が良くなるかといった情報が普遍化することで、結果的にクルマの輪郭(シルエット)はどれも似たり寄ったりになってきた。

     高速走行時の空気抵抗削減が燃費の向上に直結することが分かると、デザインの画一化は一層顕著になった。

    安全性向上もデザインに影響

     衝突安全の向上もクルマのデザインに影響を与えている。

     前面衝突を想定し、衝撃を吸収する構造がフロントバンパーの裏側に必要となった。その構造物によって、外板の形はある程度決まってしまう。万一の際に歩行者が頭部をぶつけても衝撃を緩和するためにボンネットフードは高くなり、フロントの印象は厚みを増す。

     側面衝突に対処する観点から、窓の面積は小さくなり、ショルダーと呼ばれるガラス下端が高くなる傾向になり、中央のドアの支柱も分厚くなった。窓ガラスを開けて肘を乗せてみると、かつてに比べ、肘が高く上がって窮屈に感じるはずだ。

     時代の求める性能で、このようにデザインの自由度が制約を受けるとき、何が差別化になるのか。カーデザイナーは苦労しているのではないだろうか。

    2018年03月28日 16時52分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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