元大統領逮捕、韓国「積弊清算」の底流にあるもの

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「進歩=親北」と見誤るな

平昌五輪アイスホッケー女子の韓国・北朝鮮合同チーム(コリア)に声援を送る北朝鮮の応援団(2月10日、韓国・江陵で)
平昌五輪アイスホッケー女子の韓国・北朝鮮合同チーム(コリア)に声援を送る北朝鮮の応援団(2月10日、韓国・江陵で)

 南北首脳会談や米朝首脳会談につながる特使外交が展開した平昌(ピョンチャン)五輪に、北朝鮮は女性応援団を派遣したが、2000年代初めのようにブームになることはなかった。国際オリンピック委員会まで含めた政治的判断によって急遽(きゅうきょ)、アイスホッケー女子の南北合同チームが結成されたことに対しても、冷めた見方が多かった。特に、文在寅政権の支持基盤である20代・30代の目には、競争を経ることなく五輪の舞台に立たせるというのは「不正」に映ったのである。

 若年層は民族や国家、南北融和という「大義」よりも、公正さや自由、何より個人を重視する。

 若年失業率が昨年過去最高の9.9%に達したが、就職した後も大企業と中小企業、正規職と非正規職では賃金が天と地ほど違う。当初、恋愛・結婚・出産の三つを諦めた「3放」と呼ばれたが、いまや就職・マイホームだけでなく、人間関係や夢さえも望みが持てない世代にとって、結果は甘受するにしても、せめて競争は公正に行われるべきだというのは絶叫にも等しい。

 世代によって保守/革新(リベラル)を理解する基準自体が異なり、政党の位置付けも一致しない現象が日本で見られるが(例えば遠藤晶久・三村憲弘・山崎新「世論調査にみる世代間断絶」『中央公論』2017年10月号によると、高齢層にとっては「保守」であるはずの自民党を若年層は「リベラル」と認識している)、韓国の場合も同じである。文在寅政権の中枢に布陣する「586世代(現在50歳代で、80年代に大学に通った1960年代生まれ)」にとって「進歩」とは、「対北融和」「対米自立」を意味するが、20代・30代には北朝鮮は「個人」を抑圧する非「自由」の最たる存在に他ならない。

 文政権が自らの正統性を見いだす「ろうそく革命」はそもそも、朴前大統領の友人である崔順実(チェスンシル)氏の娘が名門女子大学に不正入学したのではないかという疑惑に対して、学生たちがキャンパスで声を上げたのが導火線になった。

 仕事を委ねた「代理人」が期待どおりに仕事をしている限り「信任」するが、逸脱が見られると「本人」は「異議」を唱えるし、ひどい場合は「退出」させるのが代議制民主主義という仕組みである。当然、文政権とて例外ではない(待鳥聡史『代議制民主主義―「民意」と「政治家」を問い直す』中公新書、2015年)。

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14752 0 深読み 2018/03/29 10:01:00 2018/03/29 10:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180328-OYT8I50050-1.jpg?type=thumbnail

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