トランプ氏が苦手なタイプ、金正恩氏との心理戦

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金委員長が打ち込んだくさび

5月22日、ホワイトハウスで行われた米韓首脳会談。後方にボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)の姿が見える(AP)
5月22日、ホワイトハウスで行われた米韓首脳会談。後方にボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)の姿が見える(AP)

――金正恩委員長が仕掛けてくる心理戦にはどんな特徴があるのか。

 「予測不能なことをやってくるところはトランプ大統領と似ている。それともう一つ、金委員長は相手にくさびを打ち込むのがうまい。それによって不和を起こす。

 日米と韓国の間にくさびを打ち込み、日米韓の中から韓国を引き離そうとして、実際、それに成功した。今回も同じことをやった。トランプ大統領、ポンペオ国務長官と、ボルトン大統領補佐官の間にくさびを打ち込んだ。

 ポンペオ氏は金委員長と2回会った。おそらくポンペオ氏は、事前に金委員長に関する情報をCIAからもらっていたと思う。残忍で非人道的な指導者、専制君主という先入観があったはずだ。それが帰国後、テレビで金委員長は『知識が豊富で有能だ』と語るまでになっている。一方、ボルトン氏はリビア方式で凝り固まり、おそらく北朝鮮を見下すような態度をとっていたのだろう。韓国までもがボルトン氏を非難するようになった。北朝鮮を交渉に引きずり出すために強硬派のボルトン氏を政権に入れたことが、今や完全に裏目に出ている。政権内に対立の構図を作るよう、金委員長がうまく持っていったのだ」

譲歩は「負け」と見るトランプ氏

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長。5月18日、朝鮮中央通信(KCNA)によって配信された写真=ロイター
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長。5月18日、朝鮮中央通信(KCNA)によって配信された写真=ロイター

――米朝首脳会談はどんな展開になりそうか。

 「金委員長とすれば、現職の米国大統領に会っただけで勝利だ。先代の金正日(キムジョンイル)総書記にはできなかったことだからだ。

 ところがトランプ氏は、相手と会っただけではポイントを稼いだとは言えない。米朝首脳会談の日程が発表される前、バージニア州選出の民主党下院議員、ジェリー・コノリー氏に話を聞いた。下院外交委員会のメンバーでもあるコノリー氏は、会談の行方を展望するには、トランプ氏の心理状態を理解することが大切だと言っていた。トランプ氏は常に勝者と見られたい、取引の達人と見られたいのだ。

 トランプ氏の考え方、思考様式は少し変わっている。譲歩というものについて、日本人は落としどころを探る、あるいは、ここは貸しを作って長期的な関係を作るためには必要なものだと考える。ところがトランプ氏にとっては、譲歩イコール敗者、弱い人間のすることなのだ。日本人とは違うし、おそらく普通の米国人とも違う。

 トランプ氏は譲歩を絶対に受け入れない。だが、おそらくどこかで譲歩しなければならないだろう。そこで譲歩と見られないように譲歩する。そういう演出みたいなことをシンガポールでやるはずだ。会談は成功したという演出だ。だけど中身を見ると骨抜き。あとは実務者レベルに丸投げ。本当の交渉は会談翌日の6月13日から始まるという展開になるのではないか。

 会談の後、骨抜き、矛盾だらけの合意をもとに、実務者同士が交渉を担っていくことになる。そのうちに待ったなしの政治日程が迫ってくる。そうなれば、北朝鮮の思うツボだ」

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