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    経済

    米国に続け! KDDIが「スタートアップ企業」支援

    読売新聞調査研究本部研究員 野坂雅一
     アップルやグーグルのようにベンチャー企業が急成長し、世界を代表する巨大企業になるのがアメリカンドリームだ。日本でも今、創業初期にある気鋭の新興企業(スタートアップ企業)をどう育成していくかが求められる。そうした中で、大手通信会社のKDDIがスタートアップ企業への経営支援や資金提供に力を入れ、それをテコに成長を果たす企業が増えてきている。スタートアップ企業の支援のあり方を考えると、日本の課題と将来への期待が見えてくる。

    渋谷の高層ビルに、拠点「∞ラボ」

    • 「∞ラボ」で熱心に討議する若者たち
      「∞ラボ」で熱心に討議する若者たち

     若者たちでにぎわう東京・渋谷の駅前に立つお洒落(しゃれ)な高層ビル、渋谷ヒカリエ。その上層階に不思議な空間があった。「∞」(無限大)の形を模している天井の照明がひときわ目立つ。渋谷の街並みを眼下に見下ろす絶景のオフィスでは、始終、若者たちを中心にした様々なミーティングが行われている。そこが「KDDI∞ラボ(無限ラボ)」だ。

     KDDIは携帯電話のau事業を展開している通信会社だが、ベンチャー企業などの間で話題のインキュベーター(新興企業育成)プログラムとして、スタートアップ企業を支援する事業を行っている。その拠点こそが、∞ラボである。

     ネーミングもユニークなこの事業は2011年にスタートし、今年で8年目。すでに計58社が∞ラボの「卒業」を果たし、ビジネス界で羽ばたいている。現在は6社が支援を受けている。

     ∞ラボの支援の仕組みは、支援を受けたい企業のエントリーを受けて、KDDIの専門部署が可否を決める。支援の方法は様々で、企業の創業期、初期段階、中間期から安定期まで、その段階に応じて臨機応変に対応する。

     創業期であれば、経営支援からサービス開発、ビジネスモデルの実証実験や事業連携など、その企業が成長を果たすための支援に力点が置かれることが多い。その次の段階では、共同PRやビジネス開発、顧客開拓といった事業連携に移るのが主なパターンだ。さらに事業連携と並行して、一部では資金援助を行うケースもある。

     資金援助は、KDDIのファンドである「KDDIオープン・イノベーション・ファンド(KOIF)」から行う。運用総額は300億円。1社当たりの支援額は平均2~3億円で最大5億円程度だが、創業したばかりの若い企業にとっては、ありがたい金融支援に違いない。KOIFを通じた支援は「エクイティ出資」と呼ばれる形で、KDDIは被支援企業の株式取得などを通じて事業に加わる。だが、短期的な利益を得るのではなく、事業者と一体となって相互のビジネスにシナジー(相乗効果)を高める道を追求する。

    2018年06月29日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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