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    社会

    地震後の流言、繰り返されるのにはワケがある

    新潟青陵大学大学院教授 碓井真史
     「電車が脱線」「ドームに亀裂」「シマウマが脱走」。18日朝に起きた大阪府北部を震源とする地震では、発生直後からツイッターなどソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じて、デマや流言が広まった。2016年の熊本地震では「動物園からライオンが逃げた」というデマが流れ、混乱が起きたことは記憶に新しい。なぜ、災害時にデマや流言が発生しやすいのか。そうした情報に振り回されないためには、何が大切なのか。新潟青陵大学大学院の碓井真史教授(社会心理学)に話をうかがった。(聞き手・読売新聞メディア局編集部次長 田口栄一)

    佐渡が沈んだ?

    • ネット上に出回る流言やデマに注意を呼びかける大阪府のホームページ
      ネット上に出回る流言やデマに注意を呼びかける大阪府のホームページ

     社会心理学で流言というのは、正確ではないのに口コミでどんどん広がっていく事柄を指します。そのことを信じている場合もあれば、半信半疑の場合もありますが、伝えている人に悪意はなく、結果的に広がってしまったものです。デマは、本当でないとわかっていることを、だれかが意図的に悪意を持って広げていくものです。両者は本来、区別して使っていますが、デマが流言という意味で使われることもあります。

     「シマウマが脱走」というのは、だれかが意図的に流したデマでしょう。これに対し、「近々大きな余震があるぞ」といったものが流言です。どんな地震の時にも大なり小なり流言は発生します。1964年6月16日に起きた新潟地震(マグニチュード7.5)の時は、「佐渡が沈んだ」という流言が広がりました。

    流言が広がる三つの条件

     では、流言が広がるのはなぜでしょうか。社会心理学の研究では三つの条件があるとされていて、その三つは足し算ではなく掛け算で増大していきます。

     まず、重要であること。どうでもいい話は話題にならないので話そうとも思いません。でも、佐渡が沈んだら大変だし、余震が来るか来ないかは重要なことです。

     そして、曖昧であること。そのことに関してしっかりした情報が伝わっているのであれば、流言が広がる余地はありません。「●●線が脱線した」というのは、ニュースで「平常通り運転中」となっていればウソであることが明確ですが、混乱状態の中で何が起きているのかよくわからない間は、ありそうな気になってしまいます。

     最後に不安であること。人は自分の気持ちに合った情報を集めます。地震が起きて、避難所に逃げたとします。ここは安全、もう大丈夫ということはわかっていても、心は相変わらず不安なまま。すると、私は不安になって当然という情報を集めてしまうのです。

     「佐渡はどうだったんだろうな」「きっと大変だよな」という話の中で、「沈んだ」という話が出てきてしまう。

    2018年06月29日 10時09分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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