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    社会

    営業の殺し文句にご用心…賃貸住宅サブリース問題

    フリーライター 小野悠史

    「大切な土地、守りたいですよね」

     ある住宅メーカーの営業マンによると、

     「先祖代々の大切な土地、守りたいですよね」

     ……といった言葉に強く反応するオーナーも多いという。先祖が戦後の混乱期に入植、開墾した農地を手放すのは「自身のルーツの否定につながる」と感じる人もいるそうだ。

     感情が先走り、将来的に安定した賃貸住宅の経営が本当にできるかどうか、という重要なポイントを慎重に見極めず、安易に契約してしまうケースも多いそうだ。

    • 写真はイメージです
      写真はイメージです

     オーナー側の相談に応じているNPO法人「日本住宅性能検査協会」などが運営する「サブリース問題解決センター」(東京)の大谷昭二センター長は「賃貸住宅に対する需要は、地域の人口と世帯数によって差がある。人口が減少している地域では、安易に建築を決めてはいけない」と警告する。

     サブリースに関わる業者は、建築後、数十年にわたっての「経営収支表」を作成し、オーナーに提示する。収支表は建設するエリアの人口動態や周辺物件での入居率などを予測したもので、賃貸住宅経営が成り立つかどうかを判断するうえでとても重要なものだ。

     この「収支表」が曲者なのだという。業者側が提示する予測は極めて甘く「実態とはかけ離れた『バラ色の収支予測』を見せられ、契約してしまった人も多い。『サブリースするので空室の心配はない』といった甘い言葉で契約を迫ることもある」(大谷センター長)そうだ。

    「オーナーは何もしなくていい」という誤解

     ただ、サブリース自体が「悪い仕組み」とも言い切れないのは事実だ。

     住宅需要が高い都市部などでは、複数の賃貸住宅を業者が管理することで、近接したエリア内で入居者をうまく紹介し、空室のリスクを分散することもできるはずだ。

     にもかかわらず、サブリースが問題になるのは、その運用にあるといってよい。

     「オーナーは何もしなくていい」「家賃を将来にわたって保証する」などと勘違いさせてしまう営業手法が問題の根底にある。当然だが、金融機関から数千万~数億円を借り入れて始める規模の事業が「他人任せ」でいいわけがない。

     本来であれば、オーナーがサブリースによる賃貸住宅経営のメリットとリスクを十分理解した上、主体的に経営に参画すべきだと筆者は考えている。

     このため、オーナーの誤解を招くようなサブリースの営業が行われているのならばすぐに改めるべきだ。また住宅メーカーや管理会社もこうした誤解が広がらないようアナウンスする必要があると思う。 

    2018年07月06日 07時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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