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    国際

    北朝鮮の非核化、南北統一と分けては考えられない

    拓殖大学大学院特任教授 武貞秀士
     米国のポンペオ国務長官が6、7の両日、北朝鮮を訪問した。シンガポールで6月12日に開かれた米朝首脳会談後、停滞していた非核化協議がようやく動き出した。北朝鮮の非核化に向けた道筋をどう描くかが焦点になっているが、この問題は南北統一と合わせて考えなければならないのだという。拓殖大学大学院の武貞秀士特任教授に聞いた。(聞き手・読売新聞メディア局編集部次長 田口栄一)

    ポンペオ氏訪朝、協議継続で成果

    • 平壌で7日、金英哲朝鮮労働党副委員長(右から2番目)との協議に臨むポンペオ氏(左)=ロイター
      平壌で7日、金英哲朝鮮労働党副委員長(右から2番目)との協議に臨むポンペオ氏(左)=ロイター

    ――ポンペオ米国務長官の訪朝は、非核化への道筋をつけることができるどうかかが焦点だったと思うが、その点で成果があったと言えるか。

     「成果はあったと思う。非核化の道筋で具体的なものを盛り込み、合意を見るのが目的なら成果はなかったかもしれないが、非核化の過程で駆け引きをしようとしている北朝鮮相手に、それを期待するのは無理だった。非核化の協議をこれからも続けることを確認したという点で成果はあった。

     トランプ政権は米朝首脳会談の時点で、期限を区切った上で、北朝鮮に全ての核兵器についてCVID(完全かつ検証可能、不可逆的な非核化)の確約をとることが可能であるとは思っていなかった、と私は見ている。

     米朝両国は先の首脳会談で非核化のための協議を続けることで合意したのだから、ポンペオ国務長官は交渉担当者として米国の考えを具体的に伝える必要があった。今回、米国は非核化が完了しない限り制裁は緩和しないという原則的な立場を明確に伝えた。もし、ポンペオ長官が訪朝しなかったら、米朝首脳会談以降、高官同士の接触もないまま時間が過ぎていくということになり、それはそれで大変なことだ。

     非核化に向けた前進はなかったが、双方の立場の違いを明確にして協議を継続することになった。消極的な評価だが、成果はあったと考える」

    ――米朝の協議で非核化を検証するための作業チームができることになった。

     「作業チームの設置は今後につながる動きだと思う。北朝鮮との交渉を担当するソン・キム駐フィリピン米大使も今回の訪朝に同行した。今後、キム氏らがそれぞれの作業チームの中で、北朝鮮との協議を進めていくことになるだろう。そうした点がポンペオ氏の『前進があった』という発言につながっているのだと思う。

     北朝鮮は、米国の韓国に対する軍事的なコミットメントを段階的に減らしていくことにも言及してほしかったのに、米国が原則的なことだけしか言わなかったので、北朝鮮メディアからは米国に対する厳しい批判も出た。しかし、今後も協議が続いていくことは間違いない」

    2018年07月10日 11時51分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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