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大阪府北部で6月18日に起きた最大震度6弱の地震では、ブロック塀の倒壊で犠牲者が出るなど、身近な場所に潜む危険が浮き彫りになった。ただ、自宅周辺の危険箇所はこれだけではない。地震や台風などの災害発生時には、思わぬものが凶器になる可能性がある。被害が他人に及べば、損害賠償を請求されるかもしれない。台風シーズンを前に、目配りが必要な自宅周りの危険箇所をホームインスペクター(住宅診断士)の山見陽一さんに教えてもらった。(聞き手・読売新聞メディア局編集部次長 田口栄一)
古い建物の大谷石は要注意

東日本大震災が起きた直後、東京近辺であちこち住宅を見て回った時に、塀が倒れているところを10か所以上見つけました。あまり人が通らない道路だったのでしょう。壊れた塀が道路をふさいでいたのに、端の方に少しよけただけという場所もありました。この地震の時、東京都内の揺れは最大で震度5強でしたが、それ以上の揺れだったらもっと大変なことになっていたかもしれません。
大阪北部の地震の時はブロック塀の危険性が指摘されましたが、きちんとした工法が守られていない大谷石の建造物も注意が必要です。緑っぽくて質感もいい感じなので、関東近辺の建物に多く使われています。今はスライスして、タイルとか石ばりのような感じで壁に使われたり、床に張られたりしていることも多いのですが、築30年以上ぐらいの古い建物だと、大きいものをドーンと積んだだけの塀、門柱、灯籠などがたくさんあります。
同僚のホームインスペクターの中にも、地震の後に大谷石の塀の表面がぼろぼろはがれ、前の道路に破片が散乱しているのを見た人がいます。住宅を点検していた時、崩れかかった大谷石を塗装でごまかしているのを見つけたという人もいました。
点検の方法ですが、壁などの内部に鉄筋が入っているかどうかは外から見ただけではわかりません。手でちょっと揺らしてみるというのが現実的だと思います。いきなりボロッと崩れてしまうケースもあるので、まず、自分の安全を確保してから揺らしてみてください。徐々に力を加えていくと、ぐらぐらするケースは、少なからずではなく、よく見ます。

それから、目地(石と石の継ぎ目)の部分が割れていないかを点検します。また、塀などは、横から、まっすぐ立っているかどうかを見てみることも大切です。どちらかに傾いていたり、湾曲したりしている時は危険です。どれか一つでも当てはまる場合は、専門の人に見てもらった方がいいでしょう。補強で済む時もありますが、塀の場合、一度壊してフェンスなどに造り替えた方がいいこともあります。
自分の身を守ることはもちろんですが、災害時に塀が壊れて緊急車両が通れなくなったり、自分の家が他人に損害を与えたりするのを予防するという観点も必要です。