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    社会

    飲み会も残業…部下を無理に誘ってはいけないワケ

    弁護士 山口政貴

    判断基準は?

    • 写真はイメージです
      写真はイメージです

     これまでの判例を見ると、業務か否かの判断材料の一つとして、部下が参加を断ることができるか、言い換えれば、参加を事実上強制させられるかという基準があります。このほか、自分の都合で参加しなかった場合に、何らかの事実上の不利益が及ぶ、上司が出席したり、同僚のほぼ全員が参加したりして、断りにくいなどといった事情があれば、業務と認められる可能性は高いでしょう。

     逆に、参加者が職場のごく一部の人であったり、欠席しても、あとで何らかの不利益が及ばない飲み会であったりすれば、業務とは認定されにくいと思います。

     会社としては、飲み会を業務と認定されたくないのであれば、全員参加が原則の飲み会は極力開催しない・させない、職場の飲み会に上司は参加しない――などといった対応を取るのも手段でしょう。間違っても「飲み会を断ったら、会社の和を乱すので査定に影響するぞ」なんて発言はいけません。

    飲み会が「業務」とされた場合に何が生じるか

     飲み会が「業務」と判断されると、会社には様々なリスクが生じます。主に考えられるのが以下の三つのケースです。

    ■賠償責任

     会社は従業員が勤務中に第三者に損害を与えた場合は、使用者責任を負い、従業員に代わって第三者に損害賠償をする義務を負う場合があります。飲み会の途中に従業員が暴れて店の物を壊した、他人にケガを負わせたなどという場合は、従業員とともに会社が連帯責任を負い、損害を賠償しなければならないことになります。

     前述の東京地裁が賠償で命じたケースがこれにあたります。

    ■労災

     飲み会の最中に従業員がけがを負ったような場合、「業務中の災害」ということになり、労災に該当する可能性があります。

    ■残業代の支給

     飲み会の時間は勤務中ということになれば、会社は従業員に対し、残業手当、時間外手当等の諸手当を支払う可能性も出てきます。

    2018年08月03日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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