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    働く

    若手社員「連鎖退職」の恐怖…職場の問題とは?

    青山学院大学教授 山本 寛
     新入社員の3分の1が入社3年後までに辞めていく(厚生労働省の2017年度調査)近年、特に企業が頭を悩ませるのが、若手社員らが次々辞めていく「連鎖退職」だ。読者の中にも、数人の若手が短期間に次々と辞めていったのを目の当たりにした人もいるかもしれない。将来を担うはずの若手を一気に失うのは職場はもちろん、会社にとっても大きな損失だ。連鎖退職が起きる理由や、防止する手段について、人材活用に詳しい青山学院大教授の山本寛氏に解説してもらった。

    地震でパワハラ上司「何が何でも出てこい」

    • 写真はイメージです
      写真はイメージです

     6月の大阪北部地震の時のことだ。電車が軒並み止まり、出勤も困難な状況の中、ある会社の上司が「何がなんでも出てこい」と部下に指示。それに対し「非常時に社員を守ろうとしない会社は嫌だ」と新入社員7人が連名で退職届を出した――という話がソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で話題になった。

     話の真偽は定かではないが、社員が短期間に一斉に辞める「連鎖退職」は、今、多くの企業で問題となっているという。

     連鎖退職で多いのは、同僚の退職に影響され、別の社員も退職を決意するなど「退職が退職を呼ぶ」状況だ。一人が辞めると

     「会社の将来は大丈夫か?」

     「ここにいては危ないのか?」

     「私も辞めた方がいいのではないか?」

    ――などといった不安感や絶望感が伝染してしまうのだ。

    中小企業、5割近くが「3年以内離職」

     厚生労働省の「新規学卒者の離職状況」の調査結果(17年)によると、14年に大学を卒業し、新卒で入社した若手社員の32.2%が3年以内に会社を辞めている(高校卒業者はさらに高く、40%を超える)。この数字は近年、わずかではあるが増加傾向にある。この「3年以内離職率」は、特に人手不足に苦しむ中小・零細企業のほうが高い。

     採用難の企業にとって、若手社員の「連鎖退職」は最も恐ろしい事態ではないだろうか。一人が辞めると、他の若手に「やっぱりこの会社に未来はないんだ」と確信させることになり、どんどん退職者は増えていく。まさに「負のスパイラル」だ。

    2018年08月04日 07時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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