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    国際

    トランプ批判の一斉社説、米メディアの反撃効果は?

    読売新聞調査研究本部主任研究員 大内佐紀
     有力紙ボストン・グローブなど米国の日刊紙約350社が8月16日、メディアを「国民の敵」と公言するトランプ大統領を批判する社説を一斉に掲載した。しかし、大統領の耳には異例の一斉社説もどこ吹く風のようで、トランプ政権と主流派メディアの対立関係は、中間選挙を前に悪化の一途をたどるばかりだ。

    ボストン・グローブ紙呼びかけ、350紙応じる

     「ジャーナリストは民主主義の敵ではなく、友だ」(フロリダ州のタンパ・ベイ・タイムズ)、「選挙による公職者の説明責任を追及していく」(テキサス州のダラス・モーニング・ニュース)、「(メディアは)権力をチェックする」(ニューメキシコ州のアルバカーキー・ジャーナル)、「トランプ大統領、私たちは国家の敵ではありません」(カリフォルニア州のサンノゼ・マーキュリー)――。

     全米約350の新聞が16日、報道の自由の重要性を訴え、トランプ政権のメディア批判の危険性を指摘する自前の社説を一斉に掲載した。新聞社が同じ日に同じテーマの社説を掲載するという異例の状況は、マサチューセッツ州を代表するボストン・グローブ紙の社説担当の働きかけで実現した。

    • 「プレスは米国民の敵」と公言し、メディアとの対決姿勢を批判する一斉社説もどこ吹く風のトランプ大統領(ロイター)
      「プレスは米国民の敵」と公言し、メディアとの対決姿勢を批判する一斉社説もどこ吹く風のトランプ大統領(ロイター)

     トランプ氏は2017年1月の大統領就任後も、自らを批判する報道については一貫して「フェイク(偽)ニュース」と攻撃し、その記事を書いた記者をホワイトハウスの会見から締め出すという報復にまで出た。そればかりか、最近では「プレスは米国民の敵だ」と公言。大統領のメディア敵視は11月6日の中間選挙を前に激化する一方で、支持者集会で取材する報道陣の方を指しながら、「あいつらは、私とここに集まった皆さんの敵だ」などと発言し、報道陣が険悪な雰囲気にさらされる事態まで起きた。

     メディアを軽視するばかりか、「国民の敵」呼ばわりまでする姿勢に、ボストン・グローブは8月上旬、「トランプ氏は言論の自由を脅かしている」との危機感を示し、全米の新聞社に8月16日付で「言論の自由」に関する社説をそれぞれが掲載し、「連帯」を示すよう呼びかけたのだ。

     「ジャーナリストは敵ではない」と題された同紙の16日付社説は「トランプ大統領の報道の自由に対する継続的な攻撃は、危険な結果につながり得る」と重大な危機感を提起。第3代のトマス・ジェファーソンや第40代のロナルド・レーガンら、歴代大統領の言論の自由と報道機関の役割を尊重する言葉を引用しながら、「米国の偉大さは、権力を持つ者の実相を自由なプレスが報道することにかかっている」と指摘した。

     同調した有力紙ニューヨーク・タイムズは「腐敗を根絶し、長期的に自由と正義を促進するには、国民が情報を熟知していることが肝要だ」と主張。「自分が気に入らない事実をフェイクと主張することは、民主主義の根幹を脅かす」と、名指しはしないまでもトランプ氏を批判し、「我々は今日、ボストン・グローブ紙の呼びかけに応えた多くの他社同様、報道の自由の大切さについて改めて読者に考えてもらいたいと思っている」と読者に訴えた。

    2018年08月31日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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