トランプ政権と対立、トルコの危機が世界を巻き込む

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 米トランプ政権とトルコのエルドアン政権の対立が激化している。トルコが米国人牧師の解放に応じなかったことが発端となり、制裁の応酬となった。圧力を強めるトランプ大統領に対し、トルコは北大西洋条約機構(NATO)の加盟国ながらロシアに接近する姿勢を見せるなど、一歩も引かない構えだ。このあおりで、トルコの通貨リラが急落、影響は経済にまで及び、もはや「対岸の火事」とは言っていられない。トルコが今置かれている状況を、同志社大学大学院の内藤正典教授に解説してもらった。

米国人牧師の解放問題、こじれた末に…

トルコ西部のイズミルにあるキリスト教福音派の建物。米国人のアンドルー・ブランソン牧師はここで活動していた(AP)
トルコ西部のイズミルにあるキリスト教福音派の建物。米国人のアンドルー・ブランソン牧師はここで活動していた(AP)

 トランプ大統領が解放を求めている米国人のキリスト教福音派牧師アンドルー・ブランソン氏は現在、トルコ西部の都市イズミルで自宅軟禁下に置かれている。トルコの裁判所は今年8月、牧師の解放も出国も認めない決定を下した。

 この牧師が何をしたのか。トルコのメディアは、2016年7月に起きたクーデター未遂事件の首謀者とされるフェトフッラー・ギュレン師の影響下にあるテロ組織とつながり、トルコの少数派であるクルド人の反体制派組織「クルド労働者党」(PKK)とつながっているという2点を指摘しているが、具体的な「罪状」については明らかにされていない。

 16年10月にトルコ当局に身柄を拘束され、収監中だった牧師が自宅軟禁に移されたことで、解放が近いとの観測も流れていたが、8月に入って、にわかに米国との間で外交上の「争点」に浮上した。

 背景にあるのは、牧師の解放問題を巡って対立が激化しているさなかに、トランプ政権がトルコの鉄鋼・アルミ製品に対する関税の引き上げを決定したことである。通貨リラは10日に対ドルで約2割急落するなど、一時1ドル=7リラの水準まで下落した。

 一連の出来事がほぼ同じ時期に起きたため、トルコでは今の状況は「米国の陰謀によるもの」という論調が一気に強まった。エルドアン大統領は自らの経済政策が招いたような印象を与える「経済危機」という表現を使わず、米国によって仕掛けられた「経済戦争」であることを強調している。

 キリスト教福音派に支持基盤を持つトランプ大統領は、ブランソン牧師の問題を11月の中間選挙で支持を得る材料にしようとしていた。トルコ側は、牧師を自宅軟禁に切り替えたことからもわかるように、そのうち解放するつもりだったと思われるのだが、ここへきて、話がこじれてしまった。

トルコ共和国
 1923年、ムスタファ・ケマル・アタチュルクによって建国された。西洋化による近代化を目指し、国家が特定の宗教に支配されないようにする「世俗主義」を国是とする。52年、北大西洋条約機構(NATO)に加盟し、軍事面では西側の一員となった。欧州連合(EU)加盟を目指しているが、欧州内の反イスラム感情などがネックとなり、実現への道は遠い。現大統領のエルドアン氏は、首相時代も含めて2003年から国を率いている。

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