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    働く

    現役バリバリ! 78歳の営業マンの働き方とは?

    読売新聞メディア局編集部 中根靖明
     「人生100年時代」が到来したと言われて久しい。大企業でも定年を迎えた人を再雇用する制度が一般的になった。しかし、75歳以上の「後期高齢者」ともなると、経営者ならともかく、第一線で活躍するビジネスマンの姿はあまり見かけない。そんな中、78歳という高齢にもかかわらず、営業で現場を飛び回っている「猛者」に出会った。東証1部上場で、商業施設の設備などを企画・制作する「ラックランド」(本社・東京)の営業担当部長・渡辺武夫さんだ。得意先との打ち合わせに同行して、仕事ぶりを見せてもらった。

    上座を「譲り合い」?

    • 取引先に電話をする渡辺さん(静岡県富士市で)
      取引先に電話をする渡辺さん(静岡県富士市で)

     気温が30度を超えた夏の日の正午前、渡辺さんは、東海道新幹線を新富士駅(静岡県富士市)で降りた。両手に大きな紙袋を携え、改札口に姿を見せた。

     クールビズの時期だけにジャケットなしのノーネクタイだが、長袖の白ワイシャツを着て、足元は黒の革靴で決めている。この日は担当するプロジェクトの打ち合わせのため、同市内の取引先を訪れる予定を立てていた。手にしていたのは取引先への手土産の品だ。

     その前に、近くの喫茶店で簡単に昼食を取るというので、同席させてもらった。筆者は年長者の渡辺さんに「上座」である奥の席に座ってもらおうと促したが、「どうぞお先にお座りください」と譲らない。しばらく譲り合いが続いた末、結局、40歳ほど年少の筆者を上座に座らせ、「注文してください。何がいいですか」と食事を勧めてくれた。

     営業マンとしての「低姿勢」が身に染みついているのだろう。気難しそうな外見とは裏腹な気配りに、まず驚かされた。

    得意先は全国に

     渡辺さんの仕事は、全国の物流センターや食品工場などに、低温保管設備の導入を企画提案し、設計・施工すること。平日はオフィスを中心としたフルタイム勤務で、営業では各地を回る。渡辺さんの持ち味の一つは、フットワークの軽さだ。得意先のリクエストがあれば、現場最優先で中国、四国などの遠隔地へも足を運ぶ。

     健康面に大きな問題は抱えていないというが「これでも、最近は遠くへ行くことは減ったんですよ。お客様が『遠くまでわざわざ来てもらうのは申し訳ない』と気を使ってくれているのかもしれません」。そう話した後、少し言葉に熱を込めた。「回数が減ったとはいえ、『来てほしい』と頼まれれば遠くの取引先にも出向きます」「よほどでない限り宿泊はしません。今では日本中、飛行機を使えば、朝に出発して夕方には帰ってくることができますから」。ハードな日帰り出張もいとわない、という心意気が伝わってきた。

     食事を終えると、タクシーで取引先の事務所へと向かった。昨年から進めている物流関係のプロジェクトに関連し、設備の仕様について細かい打ち合わせをするのが目的だ。

    2018年09月25日 07時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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