アマゾンが中国「家電の巨人」と手を組んだワケ

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 ドイツ・ベルリンで8月末から9月上旬に開催された世界最大の家電見本市「IFA 2018」で、インターネット通販の巨人である米アマゾンと、白物家電の巨人である中国・ハイアールが、インターネットにつながる家電の「コネクティッド化」で技術協力していくことが明らかになった。両業界の巨人同士の「ハグ」は、世界の家電業界へ大きなインパクトを与えた。協力の狙いは何か。世界の家電事情に詳しいフリー編集者の滝田勝紀氏が探る。

世界では「コネクティッド」がトレンドに

ハイアールのカンファレンスでは、ハイアールとアマゾンのロゴがスクリーンに映し出された(8月、ドイツ・ベルリンで)=筆者撮影
ハイアールのカンファレンスでは、ハイアールとアマゾンのロゴがスクリーンに映し出された(8月、ドイツ・ベルリンで)=筆者撮影

 8月31日から9月5日まで開催された「IFA 2018」。会場のメッセ・ベルリンには、世界中から家電メーカーなど1814社が出展し、24万5000人もの来場者が集まった。ちなみに、筆者は7年連続で取材に訪れている。

 もっとも盛り上がりを見せたテーマは、2016、17年に引き続き、今年も家電の「コネクティッド化」だ。日本的に言うと「IoT(モノのインターネット)」。あらゆる家電がネットにつながり、クラウド上のAI(人工知能)などでユーザーのデータを分析するなどし、家電を通じてそれぞれのユーザーに最適なサービスを提供することを意味する。

 海外では今や、IoTという言葉はあまり使われていない。IoTがメーカー側が考える「将来のあるべきネットでつながる姿」といったニュアンスであるのに対し、コネクティッドはそこから一歩進んで、ユーザー側から見た「家電の利便性を高めるため、ネットにつながっていることが当たり前の世界」といったニュアンスを示しているのではないかと筆者は考えている。

ハイアールのプレスカンファレンスに登壇するアマゾン役員のダニエル・ローシュ氏(右)=筆者撮影
ハイアールのプレスカンファレンスに登壇するアマゾン役員のダニエル・ローシュ氏(右)=筆者撮影

 欧州メーカーでは、独ボッシュや独シーメンス、オランダのフィリップス。アジア勢は、韓国のサムスン電子、LG電子、中国のハイアール、東芝の白物家電部門を買収したことで知られる美的集団(マイディア)といった大手メーカーがこぞって巨大なブースを作り、様々な「コネクティッド家電」を展示していた。日本からもパナソニックやソニー、シャープなどがテレビやAV機器、スマート家電を出展した。

アマゾンとハイアールが「ハグ」

 世界の家電業界にとって、近年の「大潮流」といっても過言ではない家電のコネクティッド化。今後の覇権争いに大きく影響しそうな事件がこの会場で起きた。

 世界最大の通販(EC)サイトを展開するアマゾンと、白物家電では世界トップクラスのシェア(市場占有率)を握るハイアールが、「今後、世界の家電市場で戦略的に協力する」と発表したのだ。

 今回、アマゾンは、自社開発のAI・アレクサを担当する役員、ダニエル・ローシュ氏を、IFAの開幕に先立って8月30日に開催されたハイアールのプレスカンファレンス(報道向け説明会)に登壇させ、両社の提携に注力する姿勢を明確にした。

 ローシュ氏はカンファレンスで、「現在、アレクサ搭載のスマートスピーカーは(すでに)存在するが、今後は冷蔵庫やテレビなどの家電に(アレクサが)内蔵されることが当たり前となっていく。日用品の発注なども冷蔵庫から頼めるようになるなど、人々は買い物という行為から解放される。そんな世界になる」と述べた。

 今後、ユーザーがネットにつながった家電に直接話しかけ、アマゾンのサービスを使って食材を調達するような未来が当たり前になるというのだ。さらにラウシュ氏は「ハイアールと協力しながら家電を開発する」とも明かした。

 日本のメーカー関係者によると「アマゾンが家電メーカーと技術協力することを明らかにするのは珍しいのではないか」という。

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