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    タイトル100期か無冠か、羽生が越えねばならぬ壁

    将棋ライター 小島渉
     将棋界の最高位を決める第31期竜王戦七番勝負が10月11、12日に開幕する。昨年、「永世七冠」を達成した羽生善治竜王(48)に、「王位」のタイトル獲得経験がある広瀬章人八段(31)が挑む。このシリーズで羽生が勝てば、タイトル獲得が通算100期となるが、羽生は現在、タイトル戦で2連敗中。数々の記録を打ち立てた羽生だが、この壁を乗り越えるのは容易ではないようだ。七番勝負の見所はどこか。将棋ライターの小島渉さんに展望してもらった。

    羽生…節目の大記録が目前に

    • 第31期竜王戦の挑戦権を獲得した広瀬章人八段(9月6日、東京都渋谷区の将棋会館で)
      第31期竜王戦の挑戦権を獲得した広瀬章人八段(9月6日、東京都渋谷区の将棋会館で)

     熱戦の余韻が残る対局室。深浦康市九段(46)との激闘を制し、竜王戦の挑戦権をつかみ取った広瀬八段は、「羽生さんは記録が懸かっていますし、私自身はタイトル戦が久しぶりなので、雰囲気にのまれないように頑張ります」と抱負を語った。

     羽生竜王に広瀬八段が挑戦する第31期竜王戦七番勝負。10月に開幕し、先に4勝を挙げたほうが第31期の竜王となる。

     もし羽生が防衛すれば、自身が持つタイトル獲得数歴代1位の記録を更新した上に、100の大台に乗せる(2位は故・大山康晴十五世名人の80期)。1989年、羽生は19歳で初めてのタイトルの竜王を獲得。翌年11月に失冠して無冠になったものの、91年3月に棋王を獲得し、以来27年6か月にわたってタイトルを保持し続けてきた。

     99期目を獲得したのは、昨年の竜王戦。当時の渡辺明竜王を4勝1敗で破り、通算7期目の竜王を獲得して、「永世竜王」の称号の資格を得た。八つある将棋のタイトルのうち、七つには永世称号の資格が定められている。永世称号は、タイトルを一定数獲得すると引退後に名乗る資格が与えられるもので、各タイトルによって条件は異なる。

     将棋界はタイトルを1期取るだけでも一流棋士、ひとつの永世称号を獲得するだけでも超一流棋士と言われる世界だ。ところが羽生は、永世竜王の獲得により、すべての永世称号(十九世名人、永世王位、名誉王座、永世棋王、永世王将、永世棋聖)で資格を得た。まさに前人未到の大記録というしかない。今年2月、「永世七冠」の達成が評価され、国民栄誉賞を授与された。

    タイトル戦で苦戦続く羽生

    • 今年7月、豊島将之八段(左)に敗れて棋聖のタイトルを失った羽生。昨年の第30期竜王戦で勝って以来、タイトル戦では2連敗している
      今年7月、豊島将之八段(左)に敗れて棋聖のタイトルを失った羽生。昨年の第30期竜王戦で勝って以来、タイトル戦では2連敗している

     現在、羽生はタイトル戦で2連敗中。100期目獲得のチャンスを目前にして、足踏みが続いている。

     羽生にとって昨年末の竜王戦以来のタイトル戦となった今年春の名人戦。史上初の6者プレーオフを制し、2016年度以来となる17回目の名人戦七番勝負出場を決めた。名人を保持するのは、2年前に羽生から奪取した佐藤天彦(30)。羽生は第1局に勝ち、故・大山十五世名人に続き史上2人目となる通算1400勝を達成。第3局を終えた時点で2勝1敗とリードしたものの、そこから佐藤天が怒涛(どとう)の巻き返しを見せて3連勝。羽生の4度目の復位、10期目の名人獲得はならなかった。

     続いて、6月に開幕した棋聖戦五番勝負。今、最も勢いのあるトップ棋士、豊島将之八段(28)の挑戦を受けた。シリーズは大激戦でフルセットにもつれ込んだものの、最終局を制したのは豊島。豊島は初タイトルを獲得し、羽生は竜王のみの一冠に後退。複数のタイトル保持者が消え、1987年以来、31年ぶりにタイトルを一つずつ分け合う、完全な群雄割拠の状況になった。

     なお、先月27、28日に行われた第59期王位戦七番勝負第7局で、豊島は菅井竜也王位(26)に勝ち、4勝3敗で王位を奪取。豊島が二冠となり、一冠同士の戦国時代は約2か月で終わりを告げた。31年前も群雄割拠の状態は約1か月しか続いていない。

    2018年10月01日 16時16分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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