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    スポーツ

    ホッとした稀勢の里…熱唱した歌に込めた思いとは

    相撲リポーター 横野レイコ
     8場所連続休場し、進退を懸けた秋場所で10勝を挙げて“復活”を果たした稀勢の里。横綱昇進後に左腕に大ケガを負い、満足な相撲が取れない状態から、どのような日々を経て土俵へのカムバックを果たしたのか。稀勢の里を長年取材する相撲リポーターの横野レイコさんが秘められたエピソードを明かす。

    「ホッとした」とホンネをもらした

    • 秋場所10日目、遠藤を下して勝ち越しを決めた稀勢の里
      秋場所10日目、遠藤を下して勝ち越しを決めた稀勢の里

     「ホッとした。10勝は、横綱として褒められた成績ではないけれど、課題も見つかったし、また一生懸命稽古をして、次は良い成績を残せるように頑張りたい」。大相撲秋場所千秋楽の夜、稀勢の里はいつにも増してご機嫌だった。1年ぶりに千秋楽まで相撲を取りきれたという安堵(あんど)感が彼を笑顔にさせていたのだ。

    貴乃花も見守っていた

    • 審判として土俵を見上げる貴乃花さん(2018年5月撮影)
      審判として土俵を見上げる貴乃花さん(2018年5月撮影)

     場所後に角界を去ることになってしまったが、秋場所は審判として土俵下から取組を見ていた貴乃花さんは、「やるしかないという気持ちが土俵に出ていた。お客様もただの応援というより自分の人生を投影している。横綱に駆け上がってきた時の相撲とは違い、『人生をかけて土俵に上がっている人の相撲だ』ということをお客さんは知っている」と話していた。

     自身も横綱として7場所全休した経験を持ち、他の誰よりも稀勢の里の心境がわかるのだろう。取材陣も貴乃花さんと稀勢の里を重ね合わせ、連日、貴乃花さんに「今日の稀勢の里の相撲」を聞いていた。その言葉には土俵に命を(ささ)げてきた人ならではの重みがあった。今にして思うと、稀勢の里へのラストメッセージのようにも思える貴重な言葉の数々だった。

     稀勢の里のここまでの道のりは平坦ではなく、回復に向けて一進一退の毎日だった。

     

    2018年10月09日 15時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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