ホッとした稀勢の里…熱唱した歌に込めた思いとは

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初場所休場後、自らを追い込んだ

 今年の初場所で、途中休場となった際、ふがいない自分に言い聞かせるように「次に上がるときは進退を懸けて土俵に上がる」と自ら口にした。

 モンゴル勢が席巻する中、和製横綱にかかる期待は大きく、この時点で5場所連続休場となったが、まだ誰も稀勢の里に進退を迫るものはいなかった。にもかかわらず、横綱としての責任感から自身の発言で自らを追い込む形にしてしまったのだ。

 そんな中で、春巡業を迎えたが、相変わらず、土俵近くで基礎運動を繰り返し、関取との稽古をすることの少ない状況だった。そうした様子を近くで見ていた私はしびれを切らし、「あまり稽古ができていないように見えますが、大丈夫ですか?」と恐る恐る聞いた。すると、稀勢の里は笑顔で「大丈夫です。何も心配することはない。周りがいろいろ言っても気にしない。やるべきことをやっているから。極めて順調です」とキッパリと言い切り、減量に成功し、動きが軽くなっていることまで教えてくれた。その笑顔には、本人にしかわからない着実な手応えがあるようだった。

一進一退の状況が続いた

巡業で稽古する稀勢の里(2018年4月、千葉県柏市で)
巡業で稽古する稀勢の里(2018年4月、千葉県柏市で)

 しかし、本場所の土俵は遠かった。名古屋場所も全休して3場所連続全休となり、横綱としてワーストの8場所連続休場となった。まさに土俵際に追い詰められた中で夏巡業には初日から参加し、精力的に稽古を積んでいた。2日目の滋賀県大津市の巡業では、ファンが最も関心を寄せる左腕の状態について聞かれ、「今はどうでしょう。やってみないとわからないが、良い治療をしているし、いい稽古もできている」と自らに言い聞かせるように前向きな発言を繰り返した。

 ただ、その後は、設定された会見以外は報道陣を避け、支度部屋で治療に専念し、黙々と四股を踏み、周囲の声をシャットアウトするかのように稽古を重ねた。夏巡業の1か月間、御嶽海や朝乃山ら新鋭を捕まえ、精力的に取り組んだ。

 場所前恒例の二所ノ関一門の連合稽古でも、全休した名古屋場所前は新入幕の琴恵光を指名していたが、秋場所前は実力者の小結(当時)の玉鷲を指名し、調整が順調であることをうかがわせた。玉鷲との勝負では勝ち越し、不安視された左腕もかなり使えていた。玉鷲に聞くと、「(稀勢の里の)力は戻っている。左が入ると本当に強いですよ」と復調ぶりに驚嘆していた。

 しかし、翌日の稽古では出稽古に来た大関の豪栄道に完敗。稽古を見た元横綱で解説者の北の富士さんは「なんか、見てはいけないものを見たような気がする」と不安を口にした。

 こうして一進一退の状態が続き、不安を抱えたままで秋場所を迎えた。

 

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44368 0 深読み 2018/10/09 15:00:00 2019/01/22 16:15:05 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181005-OYT8I50060-T.jpg?type=thumbnail

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