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    国際

    ハワイ噴火…戻った平穏、残った爪痕

    写真家 石川結雨子
     今年5月、米ハワイ州・ハワイ島のキラウエア火山が噴火、同島東南部のプナ地区の住宅地、「レイラニ・エステーツ」で溶岩が噴出した。周辺住民も避難を余儀なくされ、年間200万人以上の観光客が訪れる人気観光地「ハワイボルケーノ国立公園」は閉鎖された。経済的にも大打撃を受けたが、8月初めには、危険な事態はほぼ収束。同国立公園も9月22日から一部が入園可能になったという。溶岩流が楽園に残した「爪痕」とは。現地在住の写真家・石川 結雨子 ( ゆうこ ) さんが世界的観光地の「それから」を伝える。

    「ハレマウマウ」から「プウ・オオ」へ溶岩が移動

    • キラウエア火山の「ハレマウマウ火口」(9月)=筆者撮影
      キラウエア火山の「ハレマウマウ火口」(9月)=筆者撮影

     真っ赤な溶岩を高々と噴き上げ、住宅地にまで溶岩を押し流した今回の噴火。なぜあのような現象が起きたのか。初めに、キラウエア火山と溶岩流の「仕組み」を説明したい。

     ハワイ島の南東に位置する、ハワイボルケーノ国立公園(Hawaii Volcanoes National Park)にはいくつかの「ボルケーノ(火山)」が存在する。

     今回の噴火で活動が激しかったのは、ハワイ神話の主要登場人物でもある「火の女神ペレ」の住み家とされるキラウエア火山中心部の「ハレマウマウ火口」と、そこから13キロほど南東にある「プウ・オオ火口」だ。

     ハレマウマウ火口は07年に噴火して以来、安全に溶岩を見ることができる火口として人気の観光地となっていた。火口付近では夜になると溶岩の発する光によって空が赤く染まり、星々とのコラボレーションが美しく、多くの人が訪れるスポットとなっていた。

     ハレマウマウ火口の溶岩はプウ・オオ火口へと移動することがある。すると、火口内の溶岩量が減り、プウ・オオ火口の溶岩が増える。そしてプウ・オオ火口の溶岩が下降する際には、たまった溶岩が周辺の地中を通る溶岩洞、「リフトゾーン」へと流れ始め、やがて海に至る。

     14年6月、プウ・オオ火口から噴出した溶岩が約30キロ・メートル北東にあるパホア村へと接近した「ジューン27フロー」は同年10月末まで続き、あと数日で村の大通りまで到達してしまう……というところで止まった。

     しかし、その後の4年間は人が住む地域に溶岩が流れ込んだり、街中で溶岩が噴きだしたりすることはなかった。一方で、人の住まない山肌をつたって海へと流れ込む「オーシャンエントリー」などが発生し、17年頃からは山や海辺で溶岩を観測する「溶岩ツアー」が大人気のアクティビティー(観光体験)となった。しかし、その「オーシャンエントリー」も17年末までには停止。しばらくはアクティビティーで訪れることができる溶岩流は存在しない状態が続いていた。

    2018年10月10日 07時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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