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    IT

    「ルンバの生みの親」が語る「次の一手」と未来

    米アイロボットCEO コリン・アングル

    市場は混戦模様……

     ロボット掃除機の市場では、モバイルバッテリーなどで知られる米国などに本社を置くアンカー社などが格安な価格で参入するなど、競争が激化している。その中で、先駆者としてトップを走り続けるためにどんな戦略を立てているのか。

    • ルンバに搭載されたセンサーなどを説明するアングル氏(10月、東京都内で)
      ルンバに搭載されたセンサーなどを説明するアングル氏(10月、東京都内で)

     「(研究開発)投資をこれからも継続し、お客さまのためによりよい経験を提供する。(そのためにはお客さまが)ロボットに触る必要がないようにしないといけない。(触る回数を)減らしていきたい」

     「(ロボット掃除機を展開する上で)100%ロボット(開発)にコミットしていない(特化していない)会社は、成功がますます難しくなるのではないか。私たちは『家全体を維持するためのソリューション(解決策)』を(提示すると)約束したい」

     目指すのは「一家に1台」ではない。

     「複数のロボットが一緒に(家全体を)掃除をする。そして、ロボットの一台一台が、システムの一部になる形を目指している」

    「収益の柱」軍事ロボ部門の売却

     1990年に設立されたアイロボット社は、元々は地雷除去や偵察など軍事用ロボットの開発を中心に手掛けており、収益の大きな柱としていた。東日本大震災の発生直後、福島第一原子力発電所のがれきの除去作業などに採用され、その実力を世界に知らしめた。しかし、軍事部門は2016年に投資会社に売却。どんな事情があったのか。

     「軍事用は長きにわたって非常に重要な分野だったし、会社の黎明(れいめい)期には、軍事用のビジネスがあったために、(米国政府から研究資金が支給され)研究開発の投資もできた。しかし、会社が成長するにつれ、自社で研究開発費をまかなうことができるようになってきた。政府から軍事用ロボットの研究開発資金を獲得するより、自分たちで投資したほうがずっと(研究が)やりやすい。たとえば15~20年前なら、米国政府から年間100万~200万ドルの研究資金を獲得できれば、当時の研究開発費の80%ほどを賄うことができた。今は自社で1億4000万ドルもの資金を捻出している。軍事用を手がけることによって、研究開発の資金を獲得する必要性はもはやない」

     資金の確保だけでなく、「使い道」の面でも意味は大きい。

     「軍事用も家庭用もそれぞれ非常に多額の投資が必要だし、(技術開発の動向に)注意を振り向け続けることも必要だ。このため、両方(を並立させて)やっていくことが難しくなってきた。また、軍事用は非常に重要な事業だったので、成功し続けるためには独立させた方がいいと考えた。実際、その会社は非常にうまくいっているし、外部からの資金調達もできている」

     一方で、家庭用に特化した背景には「『軍事用』のマイナスイメージを払拭するため」との指摘もある。家庭用に特化したことで、今後の事業展開をどう描くのだろうか。

     「私たちは(家庭用のロボットにも)約20年間も携わっているが、まだ始まったばかり。次のステップは『住宅を理解していくこと』だ。そして、私たちが持っている長期的なビジョンは、『人が独立して、他人の助けを借りずに生きられる期間をできる限り長くする』というものだ。(掃除機のように)『住宅を維持していく』ことだけでない。医療関係(のサービスなども展開する)必要もある。(利用者らとロボットが)直接やり取りできるようにする」

    2018年10月12日 07時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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