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トヨタ自動車とソフトバンクは10月4日、次世代の移動サービス事業で提携すると発表した。共同出資で新会社「モネ・テクノロジーズ」(東京)を設立する。日本の自動車・IT(情報技術)大手による“強者連合”は、米国や中国などのIT大手がしのぎを削る国際競争で優位に立てるのか。ソフトバンクで社長室長を8年務め、「孫正義社長の参謀」と呼ばれた多摩大学客員教授の嶋聡氏に解説してもらった。
日本の強者連合は世界16位

株式時価総額で国内1位のトヨタと2位ソフトバンクグループの提携は、驚きをもって迎えられた。国内で考えれば、圧倒的な強者連合である。
だが、世界で見ると、時価総額約22.6兆円(2018年3月期)のトヨタは36位にすぎない。自動運転を推進する米グーグルの親会社であるアルファベットは時価総額約80兆円(2018年3月末)で世界2位。YouTube(ユーチューブ)を買収したときのように、株式交換ならトヨタが四つ買える計算になる。時価総額8.8兆円(18年3月期)のソフトバンクは50位圏内にも入っていない。残念ながら、これが現状だ。
ところが、トヨタとソフトバンクの時価総額を合わせれば31.4兆円。これは、米小売大手ウォルマートを抜き、米バンクオブアメリカに続く世界16位に躍り出る。つまり、トヨタとソフトバンクはこの提携で、世界を相手に戦える態勢を整えたことを意味する。
モネ・テクノロジーズ社長に就任する宮川潤一氏(ソフトバンク副社長)は言う。
「ソフトバンク、トヨタさんという異色の組み合わせかと思います。しかしながら、世界の強豪はいろんな会社があり、ぜひこの日本連合で世界に打って出ようというつもりで握手をさせていただきました」
次世代の“情報端末”は自動車だと言われている。
グーグルやアップルがスマートフォン時代のプラットフォームを押さえ、覇権を確立した。トヨタ・ソフトバンク連合は、自動運転の時代のプラットフォームの覇権を奪取しにいくことになる。