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    国際

    トイレ先進国・日本 23億の“トイレ難民”救え!

    読売新聞調査研究本部主任研究員 大内佐紀
     日本はトイレ先進国だ。個室に入るだけで便器の蓋があき、自動的に水が流れ、希望すればお尻を洗ってくれる。こんなふうにハイテクで、しかも清潔なトイレが公共施設でも見られる国など、そうそうない。世界に目を転じれば、トイレのために野外へ足を運ぶ生活を余儀なくされている人は驚くほど多い。感染症の 蔓延 ( まんえん ) や差別の助長に直結することから、国連が「トイレ改革」の必要性を訴える中、日本も官民が協力し、トイレの“南北格差”解消に向けて動いている。

    1個数百円の簡易トイレ「SATO」

    • 途上国向けに開発した簡易トイレ「SATO」を手にする石山大吾さん
      途上国向けに開発した簡易トイレ「SATO」を手にする石山大吾さん

     「みんなのおうちには、すてきなトイレがあると思うけれど、家の中や近くにトイレがなくて、野外でしている人は世界にどれくらいいると思う?」

     7月下旬、東京都世田谷区の昭和女子大学付属小学校の児童に、住宅設備大手LIXILの関連会社社員で、途上国向けトイレを開発している石山大吾さんが問いかけた。

     その答えは、約8億9200万人。世界約76億人の8分の1強にあたる。野外での排せつを余儀なくされているこの8億9200万人を含め、全人口の3分の1に相当する約23億人は、自宅にトイレがない生活を送っているという。

     児童たちは続いて、野外排せつを疑似体験した。屋外に敷設されたトイレは、マジックミラーで四方を覆われ、外から中は見えない。だが、中からは外が丸見えで、子どもたちからは「みんなが外からのぞいていて、絶対できない」といった感想が聞こえた。

     「そんな人のために、僕が作ったSATOです」と石山さんは青いプラスチック製の簡易トイレを掲げた。製品名は、「sanitary toilet」(衛生的なトイレ)を縮めたもので、地面などに穴を掘り、その上に敷設して使う。500ミリ・リットル程度の水で流せ、流した後には自動的に閉まる弁が付いており、ハエや蚊など病気を広げる害虫が上がってきたり、悪臭が拡散したりするのを防ぐ。値段は1個、数百円程度だ。

     この日の「トイレ教室」は、LIXILと国連児童基金(ユニセフ)が途上国でのトイレ敷設で提携関係を結んだことを記念するイベントだった。今回の提携によって両者は、まずはエチオピア、タンザニア、ケニアの3か国に共同でSATOを普及させることを目指している。2021年までに、世界で2億5000万人の衛生状態を改善するという共通目標も掲げている。

    2018年10月31日 13時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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