座れない、すぐに遅れる…直通運転に異議あり!

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どうすれば遅れは減る?

直通運転区間で並走する近鉄(中央)と阪神の車両
直通運転区間で並走する近鉄(中央)と阪神の車両

 ――関西に目を向けると、直通運転している路線はわずかです。

 通勤時間帯の混雑は関東ほどではなかったので、直通運転する必要性があまりなかったのでしょう。あわせて感じるのは、関西の私鉄は独立したターミナル駅や、沿線のカラーを大切にしているように思います。

 神戸、京都、宝塚方面へ電車が次々に発車する阪急梅田駅は、ロンドンやパリのターミナルに通じるものがあります。

 直通運転すると、いくつもの会社の電車が交ざって走りますから、鉄道会社ごとの個性が見えにくくなります。阪急が分かりやすいのですが、電車は全て同じ色で、ブランドイメージを高める効果を生んでいます。

 2010年にJR中央線(東京―高尾)からオレンジ色の電車が消える時、反対運動が起きるかなと思ったのですが、私の知る限りありませんでした。オレンジ色は今も車体の帯に残っているとはいえ、見た目は他線と同じステンレス車両で、中央線らしさは失われた気がします。

 関西の数少ない直通運転に、阪神なんば線による阪神と近鉄の例があります。これは、神戸と奈良を速く結ぶことで、観光客をJRから奪おうとの作戦でしょう。JRで神戸から奈良へ行くには、乗り換えが必要な上、大阪環状線を経由するため時間がかかるからです。

 ――本来の目的であるサービス向上のために、鉄道会社はどうすべきでしょうか。

 直通運転を減らし、途中駅での折り返し運転を増やすことでしょう。東横線で言えば、渋谷始発の通勤特急、急行を新設、増発すること。現に事故などでダイヤが乱れた時は、ダイヤを早く元に戻すため、直通運転を取りやめています。

 JR東日本の場合、中央・総武線のように直通運転している路線は、同じ方向の線路が複数ある「複々線」構造になっており、快速線が並行しています。例えば、中央線には東京始発の特快や快速があって、乗る人には選択肢があるわけです。ところが、私鉄には長い複々線の区間が少ない。同じ線路上に各停も準急も急行も走らせるので、1か所で事故が起きると線全体が不通になり、他の選択肢がなくなってしまうわけです。

 先ほどの「遅延証明書発行日数」で、京浜急行は7.1日と、直通運転している鉄道会社の中ではかなり少ないほうです。各停はすべて品川発着とし、快特も品川や泉岳寺での折り返しを多くしていることも、遅れを減らす効果をもたらしているのではと見ています。

プロフィル
原 武史( はら・たけし
 1962年、東京生まれ。明治学院大学教授などを経て現職。著書に「大正天皇」(朝日選書)、「『民都』大阪対『帝都』東京」(講談社選書メチエ)、「滝山コミューン一九七四」(講談社文庫)、「鉄道ひとつばなし」(講談社現代新書)など多数。

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