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    社会

    ゴミ屋敷の清掃現場に見る「多頭飼育崩壊」の真実

    ペットジャーナリスト 阪根美果
     ペットブームの裏で、猫や犬が子を産みすぎ、自宅で飼い切れなくなって手放してしまう「多頭飼育崩壊」が問題化している。何匹分ものフンや尿の始末に困った揚げ句、掃除そのものをあきらめて、「ゴミ屋敷」化してしまうケースもある。ペットジャーナリストの阪根美果さんが、ゴミ屋敷などを片付ける「特殊清掃」専門業者を取材し、実態に迫った。

    ペットには「面倒な面」も……

     ペットを飼う人が「困ること」と言えばなんでしょうか。2016年4月、マーケティング調査会社「ドゥ・ハウス」(東京)が、インターネットで20~69歳の男女を対象(有効回答数1198)に行ったアンケート調査(複数回答)では、こんな声が上位を占めました。

     「現在や過去にペットを飼っていて困ること」について尋ねたところ(複数回答)、「旅行など家を空けることが難しい」(49.5%)、「掃除やペットのにおい」(40.2%)、「散歩など毎日の世話」(30.4%)……

     飼い主の多くは、ペットに癒やしを求め、幸せな日々を思い描きながら飼い始めると思います。しかし、このアンケート結果からもわかるように、生身の生き物であるペットには面倒な面もたくさんあるのです。最初は愛情を持って接していた飼い主でも、問題が起き、面倒を見切れなくなり、ペットを置き去りにして引っ越したり、捨ててしまったりするケースが後を絶ちません。

    「特殊清掃」の現場で発覚した問題

    • 野良猫を呼び寄せ続け、荒れた家を清掃する作業員(千葉市で)=Freee提供
      野良猫を呼び寄せ続け、荒れた家を清掃する作業員(千葉市で)=Freee提供

     最近問題になっているのはペットを放置し、家屋に害が及んだり、周辺の家庭から悪臭などの苦情が上がったりすることです。筆者は特殊清掃を手掛ける会社に実態を取材しました。

     特殊清掃とは、事件や事故、自殺や孤独死などの現場となった家屋を清掃し、元の状態に戻す作業のことです。腐敗臭や死臭を消したり、血液や遺体に群がる虫の除去も手掛けたりする点で、通常の清掃業者とは大きく異なります。

     「『ゴミ屋敷』の清掃も手掛けていますが、最近は、消臭を含めたペットに絡む清掃の依頼が急増しています」と明かすのは、特殊清掃会社「Freee」(東京)の作業員、望月清史さんです。

     ペットのフンや尿とその臭いは、床や柱などの木材にしみ込んでしまうと、特殊な除去作業が必要になります。賃貸物件の場合、飼い主が引っ越した後、借家や部屋を家主に引き渡す前に依頼してくることが多く、作業員が現場に赴くと、想像を絶する悪臭が漂っていたり、「引っ越し先に連れて行った」と聞いていたペットが置き去りにされていたりと、その惨状に驚くことが多いそうです。

     特に深刻なのは、近年増えている「多頭飼育崩壊」のケースです。犬や猫は1回の出産で5~6匹の子を産むことがあります。「かわいそうだから」と、避妊や去勢などをせず飼ってしまったことで、オス、メスのペアが子をたくさん産んだり、近所の犬や猫と交尾したりして、数が増え過ぎてしまい、飼育費用が払いきれなくなったり、「ゴミ屋敷」のように家の中が荒れたりし、飼育できなくなるか、飼い主の生活が成り立たなくなってしまうのです。

     望月さんらが実際に直面したという多頭飼育崩壊の例を紹介したいと思います。

     

    2018年11月17日 07時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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