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    国際

    日中関係改善の裏で、今も続く尖閣の緊張

    防衛省防衛研究所主任研究官 飯田将史
     安倍首相が7年ぶりに中国を公式訪問し、 習近平 ( シージンピン ) 国家主席と会談するなど、日中関係は改善に向かっているように見える。しかし、東シナ海の緊張状態が解消されたわけではない。今月11日には尖閣諸島の魚釣島付近の領海に中国海警局の船4隻が侵入した。中国海警局は、組織改編により今年7月から軍事組織に編入されたので注意が必要だ。日本はどう対処すべきか。防衛省防衛研究所主任研究官の飯田将史さんに寄稿してもらった。

    懸案は解決していない

    • 首脳会談を前に握手を交わす安倍首相(左)と中国の習近平国家主席
      首脳会談を前に握手を交わす安倍首相(左)と中国の習近平国家主席

     10月26日、北京で安倍首相を迎えた習主席は、記者団の前で固い握手を交わしてみせた。予定の時間を大幅に超過した安倍首相との会談で、習主席は「中日関係は正常な軌道へ戻りつつあり」、その基礎の上に「新たな発展を推し進めるべきである」と強調した。

     2012年の発足以来、習政権は日本に強硬な姿勢を示す傾向が強かったが、今回の安倍首相訪中を機に、対日関係の改善に向けて大きく(かじ)を切ったことを習主席自らが国内外に示したものといえるだろう。

     しかしながら、日中関係の悪化を招いてきた主要な要因ともいえる、日本の領土である尖閣諸島に対する中国による一方的な主権主張活動は継続している。

     中国はこれまで、尖閣諸島の周辺海域に公船(政府に属する非軍用の船舶)を送り込み、主権主張活動を行ってきた。日中首脳会談後、中国海警局の船はしばらく姿を見せなかったが、11月5日から領海の外側12カイリの接続水域で再び活動するようになり、11日には4隻が領海に侵入、会談前の状況に戻ってしまった。

     08年12月、海上法執行機関の一つである「海監」の公船2隻が、初めて日本の領海に侵入した。10年9月、日本の領海で違法操業を行っていた中国漁船が海上保安庁の巡視船に体当たりし、拿捕(だほ)された事件の直後には、多数の中国公船が接続水域に入った。

     そして12年9月、日本政府が尖閣諸島の3島の所有権を民間から取得したことを契機に、中国は公船を頻繁に日本の領海に侵入させるようになった。中国は公船を日本の接続水域でほぼ常続的に航行させ、月に3回ほど領海にも侵入させることで、尖閣周辺海域におけるプレゼンスを大幅に向上させたのである。

     

    2018年11月16日 11時59分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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