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    社会

    保育園無償化は大丈夫?厳しい保育士不足の真相

    経済アナリスト 森永康平
     都市部を中心に、待機児童問題が依然として深刻だ。背景には、保育士が全く足りていない実情がある。政府は保育料の無償化を少子化対策の一つの柱に据えるが、さらに保育士の数がひっ迫する懸念もある。保育士不足を解消する方策はないのか。自身も「保活」に奔走した経験を持つ、3児の父であり、経済アナリストの森永康平氏がデータなどから真相を探る。

    待機児童は減少するも……

    • 写真はイメージです
      写真はイメージです

     厚生労働省の発表によると、今年4月時点の全国の待機児童の数は前年比6186人減の1万9895人となり、4年ぶりの減少となった。実は、待機児童の数が2万人を下回るのは2008年以来、10年ぶりだ。

     政府は20年度末までに待機児童をゼロにするという目標を掲げている。待機児童数が減ったという事実は一定の評価はできるものの、政府の目標に照らせば、まだ道半ばといったところである。

     いかにしてスピードアップを図るのか。政府は、待機児童解消に必要な予算措置を行う「子育て安心プラン」の実施を急ぎ、20年度末までに児童32万人分の保育園など保育の受け皿を整備し、保育士の確保と、他の産業との賃金格差を踏まえた保育士の処遇改善に今以上に真剣に取り組むとしている。

     どうやら、施策のカギを握るのは「保育士」が気持ちよく働ける環境が用意できるかどうかのようだ。

    「幼児教育無償化」の問題点

     その一方で、消費税の増税が予定される来年10月から前倒しで開始されることになった幼児教育の無償化は懸念材料になりかねないと筆者は危惧している。都市部を中心とした保育士不足はかなり深刻な状況にあるからだ。

     無償化されるのは、3~5歳児は全世帯の幼稚園、保育園、認定こども園の費用。0~2歳児は世帯所得が一定額を下回る住民税非課税世帯の保育料などの費用だ。

     一見、子育て世帯が待ち望んでいた素晴らしい制度のように聞こえる。これを受けて、新たな利用希望者や、長時間保育の需要が増えるのは間違いないだろう。筆者が危惧するのは、それが保育士不足に拍車をかけ、保育の質を低下させてしまうことだ。

    2018年11月28日 07時10分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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