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    社会

    保育園無償化は大丈夫?厳しい保育士不足の真相

    経済アナリスト 森永康平

    今も悲しいニュースが……

    • 写真はイメージです
      写真はイメージです

     筆者は東京都練馬区に住んでいるが、10月上旬、同区内の認可外保育施設で生後6カ月の男児が亡くなったというニュースを聞き、胸が痛んだ。

     残念ながら同じような事故は各地で頻繁に起きている。慢性的な人手不足を解決できぬまま、負の連鎖を断ち切ることができるのだろうか。

     もちろん、保育士が十分な数に達するのがベストだ。しかし、これまでの経緯を見ると、早い段階で理想的な状態が実現するとは考えにくい。

    ITの活用もカギ?

     そうなると、別の方法での手当てが必要である。その一つになりうるのはITの活用だ。

     保育の仕事は依然として、人の感覚によるところが多いアナログな業界だ。親としては、温かみのある保育など、アナログな部分の良さも感じている。しかし、保育士の労働環境を改善し、保育の質を上げようとするなら、「ベビーテック」と呼ばれる保育に関するITシステムによる業務効率化も進めていくべきだろう。

     例えば、今も保育園の連絡帳や提出書類は、依然として紙ベース、手書きのものが多い。連絡帳のやり取りなどは保育士に限らず、親にとっても負担の多い作業だ。ネット上で子どもの情報をリアルタイムで共有できるシステムがあれば、それだけでも負担が減るはずだ。

     また、お昼寝中や夜間保育中の安全対策も、保育士にとって大きな負担だ。自治体によっては、0歳児は5分に1回、1歳児は10分に1回の目視による安全確認を徹底するように指導されている。

    • ユニファのサービスのイメージ(同社提供)
      ユニファのサービスのイメージ(同社提供)

     「ユニファ」(名古屋市)が提供する、赤ちゃんがうつぶせで寝たり、呼吸が止まったりすると、衣服に取り付けたセンサーで検知して保育士に知らせるシステムは、首都圏を中心に全国の約400施設がすでに導入しているという。このほかにも、保育士の負担を軽減するためのシステムの開発を手掛ける企業は増えている。

     保育士の待遇や職場環境・人間関係の改善などで離職率を下げるとともに、潜在保育士に復帰してもらうなどして、一人でも多く現場に立ってもらうことが必須だ。さらに、ベビーテックの活用で業務効率を向上させ、保育士の職場への定着を促すことで、待機児童の問題も少しずつ解消されるのではないだろうか。

    プロフィル
    森永 康平( もりなが・こうへい
     経済アナリスト。子どもたちへの金融教育事業を展開する株式会社マネネ(東京)代表取締役社長CEOも務める。証券会社や運用会社にてアナリスト、エコノミストとしてリサーチ業務に従事した後、複数の金融機関で外国株式事業やラップ運用事業を立ち上げる。インドネシア、台湾、マレーシアなどアジア各国で新規事業の立ち上げや法人設立も経験。現在は法律事務所の顧問や、複数のベンチャー企業のCFO(最高財務責任者)も兼任している。日本証券アナリスト協会検定会員。マネネのホームページは こちら 。ツイッターアカウントは@KoheiMorinaga 。

    2018年11月28日 07時10分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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