「社内官僚がいない会社」が躍進する理由

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階層も統制もない「ティール組織」

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 日本の企業にありがちな欠点を乗り越える次世代型組織とはどのようなものか。マッキンゼーの元コンサルタントであるフレデリック・ラルーが提唱する組織のカタチは、その答えの一つであろう。彼は、組織には階層と統制が必要――という私たちの“常識”を「思い込み」と看破し、階層も統制もない新しい組織を提唱する。その名を「ティール組織」という。

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 ティールとは青緑色のことで、同氏は著書「ティール組織」の中で、組織の進化を段階的に色で表した場合に最先端の形態をイメージするカラーとして位置づけている。

 決して机上の空論ではない。実例を挙げよう。

 自動車の変速機部品の製造を行うフランスのFAVIは、1950年代後半に設立された従業員500人程度の企業だ。社内は15~35人の小チームに分かれるが、これらを統括するミドル・マネジメントは存在せず、チームが自分たちで決めたもの以外にはルールも手続きもない。

 チーム内に上司らしき人はいないし、タイムカードによる出退勤の管理もなければ、生産ノルマもない。「人事部」「企画部」「スケジュール管理部」などといった、日本でお馴染(なじ)みの間接部門は存在しない。経営陣による会議もない。

 それでも、同社は変速機で世界の50%の市場シェアを誇り、従業員の給与は業界平均をはるかに上回り、離職率はほぼ0だという。

ティール組織「強さ」の秘密

 オランダで訪問看護サービスを提供するビュートゾルフは7,000人の大規模な組織だが、10~12人程度の小さなチームに分かれていることに特徴がある。各々(おのおの)のチームの行動を判断したり、決定したりする上部の組織は存在せず、経営資源の配分の仕方、計画の策定とモニタリングなど、あらゆる意思決定と業務はすべてチーム自体によって行われる。

 チームは、いわば自主的に編成された自治組織であり、その中にも上下関係は存在しない。それでも物事が決まり、業務が支障なく進んでいくのは、ビュートゾルフのメンバー全員が「相互作用による問題解決法」と呼ばれる研修を受講し、組織内での協力と連携、意思決定に関するスキルとテクニックを身につけている点が大きい。

 従業員数4万人を誇るアメリカの世界的なエネルギー供給会社アプライド・エナジー・サービス(AES)でも、投資予算の策定は本社の財務部門ではなく(そもそも存在しない)、すべて現場で決められる。徹底的な情報開示と情報共有がなされているため、現場の社員が権限を持っていても、組織全体の視点に立った適切な経営判断がなされやすい。

 ティール組織には「組織階層」が存在しないので、機密性の高い情報が少しずつ秘匿されつつ、上から下に流れてくる…といった通常の階層型組織のような状況はない。だれもが最適な判断を行えるよう、財務情報や一人ひとりの給与、成績など、ありとあらゆる情報が全社員にオープンにされている。

 

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