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    IT

    お偉方だけじゃない! 職場を悩ますパソコン音痴

    ITライター 柳谷智宣
     サイバーセキュリティ基本法改正案を所管する大臣が、「自分でパソコン(PC)を打つことはない」と発言し、世界を驚かせた。経団連の会長執務室に初めてパソコンが設置されたのは、現会長が就任した今年5月だという。しかし、これは氷山の一角だ。パソコンに触れようとせず、文書作成などの業務を部下に丸投げする人は、職場では決して珍しくない。それどころか最近は、デジタルネイティブのはずの若者にもパソコンを苦手とする人が多いのだという。こういう人たちに、どう対処すればいいのか。ITライターの柳谷智宣さんに寄稿してもらった。

    どこにでもいる困った人たち

    • パソコンが苦手という人はどの組織にもいる(写真はイメージです)
      パソコンが苦手という人はどの組織にもいる(写真はイメージです)

     最近、政治家や大きな組織のトップにPCの経験がないなど、デジタルリテラシーに関する話題が続いた。職場に当たり前のように1人1台PCがあり、それを扱う能力がある社員ばかりの環境にいる人にとっては、笑い話に思えるかもしれないが、実際はよくある話だ。

     1990年代にインターネットとともにPCが普及し始めた時、必要に駆られた人は使い方を学んだものの、業務に必須ではなかった人はそのままアナログ仕事を続けた。PCはそのままオフィスの中に定着していったが、一度、苦手意識を持った人はPCの使い方をあえて学ぼうとは思わないケースが多い。これは、その人の収入や会社の規模、肩書のランクにかかわらず、一定の割合で必ず存在する。

     PC初心者に接することが多い私は「パスワードを入れてもログインできない」「保存したはずのファイルがない」「インターネットにつながらない」「電源が入らない」など、様々な質問を受けてきた。皆一様に「私は何も(おかしなことは)していない」と困惑顔で助けを求めてくる。

     調べてみると、caps lockがオンになっていたり(これでは日本語がちゃんと入力できない)、ケーブル類が抜けていたり(パソコンがどこにもつながっていない)、といった単純な勘違いがほとんどで、デジタルリテラシーを向上するためにはどうすればいいのだろうと考えさせられることが多かった。

     ある会社の役員はメールの送受信や削除の方法を聞くために、貴重なコンサルタントの契約時間を使っていた。それだけならまだしも、PC作業を部下に押しつける人もいる。本来、上司本人が作るべき書類を他人が作成するのは、効率が悪く時間がかかってしまう。

     多くの場合、本来業務とは異なる非生産的な作業となるので、押しつけられた人がサービス残業を強いられることもあるだろう。雑用を下の者に任せるのは悪いことと思っていない上司が多いので、フォローも改善も見込めないのが困ったところだ。

     見栄えのいいプレゼン資料の作成やパスワードのかけられた文書の印刷などができない、というならまだわかるが、メールを確認する、カレンダーソフトに予定を入れる、テキストベースの日報を書くといった作業まで丸投げするケースもある。

     そういう人に言いたい。「あなたはオフィスで確実に嫌われていますよ」

     

    2018年12月11日 11時27分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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