あの会社の騒動も?義挙か謀反か、忠臣蔵の真実

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 時期が時期だけに、日産自動車の騒動を連想する人がいるかもしれない。唯我独尊のふるまいで憎まれ役となった男が、忠義のサムライに雪の中で討ち果たされる――。江戸元禄期の実話に基づく『忠臣蔵』の物語は時代を超えて語り継がれ、年の瀬の風物詩となった。ただ、あまりにも脚色され過ぎていて、実際に起きた事件の真相はまるで見えない。何が事実なのか、冷静に見極める姿勢も大切ではないか。

ゴーン容疑者逮捕は「義挙」か「謀反」か

逮捕され、日産自動車会長職を解任されたカルロス・ゴーン容疑者
逮捕され、日産自動車会長職を解任されたカルロス・ゴーン容疑者

 日産自動車のカルロス・ゴーン容疑者が金融商品取引法違反の疑いで逮捕され、会長職を解任された。フランスのルノーから派遣され、過去のしがらみにとらわれない「破壊的改革」で日産を立て直し、カリスマ経営者として20年近く君臨したゴーン前会長だが、日産の内部調査で、役員報酬を有価証券報告書に少なく記載させたことが分かったという。

 コストカットの大ナタを振るって何万人もの社員の首を切る一方で、自身は突出した高給を得て会社の金を使い放題というのが事実なら、日産内部に不満の声が高まるのは当然だ。しかも英フィナンシャル・タイムズ紙によると、ゴーン容疑者は逮捕前、ルノーと日産の経営統合を準備していた。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、西川(さいかわ)広人社長の解任を計画していたと報じている。

 ルノー主導での経営統合が実現すれば、日産は自主的な経営ができなくなる。西川社長ら日産経営陣が、専横に耐えかねてゴーン容疑者を排除し、日産の「お家」を守るために立ち上がったとすれば、首を切られた社員たちの(あだ)を討つ「義挙」にも見える。

 だが、ゴーン容疑者は容疑を否認し、検察と全面対決するという。検察と司法取引を結んでいるところを見ると、現経営陣の側にも「正義は我にあり」と胸を張れない事情があるようだ。義挙といえば年末に差しかかるこの時期には『忠臣蔵』が思い浮かぶが、西川社長らを『忠臣蔵』の四十七士に重ねるのは慎重であるべきなのだろう。「日産忠臣蔵」は、検察の調べが進めば「日産本能寺の変」に化けるかもしれない。

脚色し放題の「忠臣蔵」

JR赤穂駅(兵庫県赤穂市)近くに立つ大石内蔵助の銅像
JR赤穂駅(兵庫県赤穂市)近くに立つ大石内蔵助の銅像

 そもそも『忠臣蔵』のもとになった赤穂事件が義挙だったという見方には昔から異論がある。1702年(元禄15年)12月14日、大石内蔵助(くらのすけ)(1659~1703)ら元赤穂藩士47人が、赤穂藩主だった浅野内匠頭長矩(たくみのかみながのり)(1667~1701)の仇をとるために吉良上野介義央(こうずけのすけよしひさ)(1641~1703)の屋敷に討ち入り、上野介の首を取った。この前年、内匠頭は江戸城の松の廊下で上野介に斬りつける刃傷(にんじょう)事件を起こし、即日切腹を命じられた。一方の上野介は無罪とされたため、赤穂浪士は主君の恨みを晴らすため苦心の末、上野介を討ちとった――というのが事件のあらましだ。

 だが、人形浄瑠璃や歌舞伎、演劇、映画の『忠臣蔵』には多くの演出や脚色が入り、史実とは程遠いストーリーになっている。「討ち入り当日は雪はなかった」とか「四十七士は(そろ)いの陣羽織を着ていなかった」といった細かい話ではない。事件の発端となった刃傷事件と討ち入りが何だったのか、から見直す必要があるのだ。

 

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