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    単純にはいかないファーウェイ、ZTE「排除」

    ITライター 佐野正弘
     政府は来年4月以降、各府省庁や自衛隊などが使用する情報通信機器から、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の2社の製品を事実上、排除する。両社は日本でどのような事業を展開し、今回の措置で国内にどのような影響が及ぶのか。ITライターの佐野正弘さんに解説してもらった。

    ネットワーク設備で強み

    • 中国・広東省の東莞市にある華為技術(ファーウェイ)の研究・開発センターの外観。日本政府は、同社製品を政府調達から事実上、排除することを決めた(AP)
      中国・広東省の東莞市にある華為技術(ファーウェイ)の研究・開発センターの外観。日本政府は、同社製品を政府調達から事実上、排除することを決めた(AP)

     米中間の摩擦が激しくなる中、日本政府がファーウェイとZTEの製品を政府調達から排除することを決めたのは、機密漏えいやサイバー攻撃など、安全保障上のリスクが指摘されていたからだ。ファーウェイの創設者である任正非(レンジョンフェイ)氏は中国人民解放軍の出身で、米国は8月に成立させた「国防権限法」により、政府機関や政府と取引のある企業が両社と取引することを禁じ、日本を含む同盟国に利用の自粛を要請していた。

     そもそも、両社の実像をよく知らない人が多いのではないか。ファーウェイ、ZTEはともに携帯電話を中心とした通信機器を扱っている企業である。両社ともに、基地局やアンテナなどのネットワーク設備と、スマートフォンなどの端末を同時に手掛けているのが大きな特徴だ。

     特に強みを持つのが、ネットワーク設備に関して、である。両社は元々、ネットワーク設備を手掛けるメーカーで、低コストながら高品質な機器を提供することで世界における販売を急拡大し、市場占有率(シェア)を高めてきた。現在はファーウェイが業界で1位、ZTEが4位にランクされており、エリクソン(スウェーデン)やノキア(フィンランド)といった、この分野では老舗となる北欧勢と激しいシェア争いを繰り広げている。

     日本では、ともに中小規模の携帯電話事業者に基地局を提供しながら市場の開拓を推し進めてきた。ファーウェイは2005年に携帯電話事業に参入したイー・アクセス(携帯電話部門のブランド名はイー・モバイル)にネットワーク設備を提供したこと、ZTEは09年にPHS事業者のウィルコムと次世代PHSの共同開発を始めたことが、それぞれ日本市場進出の足掛かりとなった。

    • 広東省の深センにある中興通訊(ZTE)のビル。同社製品も日本の政府調達から事実上、排除される(ロイター)
      広東省の深センにある中興通訊(ZTE)のビル。同社製品も日本の政府調達から事実上、排除される(ロイター)

     その後、イー・アクセスとウィルコムは現在のソフトバンクグループ傘下となり、14年に合併してワイモバイルとなった後、15年に同じくソフトバンクグループ傘下の国内通信企業と合併して現在のソフトバンクとなった。

     そうしたことから、現在ファーウェイとZTEはソフトバンクとの関係が深く、ソフトバンクは両社の基地局を多く採用しているとされる。

     だが両社は、来年スタートする次世代通信の「5G」で国内販売をさらに拡大させるべく、ソフトバンク以外の携帯電話会社との関係も強めようとしていた。例えばファーウェイは、NTTドコモと共同で「5G」の技術に関する実証実験を実施している。

    2018年12月21日 07時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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