最強AI「アルファゼロ」登場で将棋は終わるのか

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 国語も数学も英語もクラスで一番。人間に例えると、そんな秀才のような存在だろうか。グーグル傘下の人工知能(AI)ベンチャー企業、ディープマインド社(英国)が開発した最新ソフト「アルファゼロ」が、チェス、将棋、囲碁で、それぞれ最強とされていた既存のソフトに圧勝した。しかも、アルファゼロはルールを学んだだけで、後は自分で学習して強くなったのである。恐ろしいまでの強さであることは間違いないが、そこには限界もあるようだ。早稲田大学教授でコンピュータ将棋協会会長の瀧澤武信さんに話を聞いた。(取材・構成=読売新聞メディア局編集部次長 田口栄一)

17年王者「エルモ」に勝率9割以上!

アルファゼロのイメージ図(画像提供:ディープマインド社) 
アルファゼロのイメージ図(画像提供:ディープマインド社) 

 「アルファゼロの成果に関して最初の論文が出たのは、1年ほど前(2017年12月)のことでした。だけど、その時は(指し手の進行を示す)棋譜が公開されず、我々はとても不満でした。今回(昨年12月)、100局分の棋譜が公開され、私も拝見したのですが、相手を圧倒して勝った将棋が多く、特に先手番の時はほとんど負けていません。圧倒的に強いなと思いました」

 ディープマインド社は昨年12月7日、アルファゼロがチェス、将棋、囲碁をマスターし、それぞれの最強ソフトを打ち破ったと発表した。論文は6日付米科学誌サイエンス電子版に掲載された。将棋では、17年の世界コンピュータ将棋選手権で優勝したソフト「エルモ」と合計100局戦い、アルファゼロの90勝8敗2引き分けだった。

 チェスなどのボードゲームをAIにやらせるという試みは、人工知能研究の一環として古くから行われていた。例えば将棋なら、相手の玉を詰ませる(行き場のない状態に追い込む)といった目標がはっきりしているので、プログラムを研究するのに適していると考えられていたからである。

ゲーム以外にも応用できる可能性

 アルファゼロの最大の特徴は、強化学習と呼ばれるものだ。ルールだけを教えてもらい、後は自己対戦を繰り返す。最初はランダムな手を指しているが、対戦を重ねる中で何がいい手かを学び、独自の「読み」を身につけていくのだ。これまでのソフトは、人間が指した将棋の棋譜や定跡(過去の実戦から編み出されたセオリー)を覚え込ませる必要があったが、アルファゼロは自分で学習するのでそうしたデータを必要としないということだ。

 「まず、同じアルゴリズム(答えを導き出すための計算方法)で、チェス、将棋、囲碁の三つとも強くなった。これはすごいことです。しかも、非常に短い時間(将棋の訓練に要した時間は12時間)で。これは、昔なら考えられなかったことです。今はゲームだけでやっていますけど、同じアルゴリズムで将棋も囲碁も強くなるのであれば、いろいろな社会現象でも応用が利くということです。ルールが確立され、制限された領域の中で行うゲームと比べて、世の中で起きることは、そこだけで閉じた世界ではなく、いろいろなことが影響します。だから、ゲームほど単純ではないですけど、応用できる可能性が見えてきたということだと思います」

 ディープマインド社の最高経営責任者(CEO)であるデミス・ハサビス氏は、記者会見で「目標は、アルファゼロのプロジェクトから得られた知見を、社会における最も困難な課題を解決するシステムの開発に利用することだ」と述べ、ゲーム以外への応用を視野に入れていることを明かしている。

 

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60266 0 深読み 2019/01/13 07:00:00 2019/01/25 10:52:58 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190111-OYT8I50031-T.jpg?type=thumbnail

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