最強AI「アルファゼロ」登場で将棋は終わるのか

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人間と争う時代は終わった

第2期電王戦2番勝負で、将棋ソフト「ポナンザ」に敗れた佐藤天彦名人(2017年4月1日撮影)
第2期電王戦2番勝負で、将棋ソフト「ポナンザ」に敗れた佐藤天彦名人(2017年4月1日撮影)

 今回、アルファゼロと戦った将棋ソフト「エルモ」は、2017年の世界コンピュータ将棋選手権で優勝したソフトである。

 この年、下馬評ではポナンザというソフトが優勝候補だった。15、16年と2年連続で優勝していたし、この年はディープラーニング(深層学習)という手法を取り入れ、次の一手を決めるまでの思考がより深くなっていた。ところがふたを開けてみると、ポナンザは2次予選と総当たりの決勝リーグでエルモに連敗、優勝を逃した。

 ポナンザは、この年の第2期電王戦で佐藤天彦名人に2連勝している。以上のような状況をまとめて、不等式で表現するとこうなる。

 アルファゼロ>エルモ>ポナンザ>佐藤名人

 「今回出てきたアルファゼロはもちろん強いのですが、その前の段階で(将棋ソフトが)人間を凌駕(りょうが)してしまっているので、もう人間には手の届かない状況になってきました」

 現役のプロ棋士が公の場の対局で将棋ソフトに負けたのは、13年に行われた第2回将棋電王戦の時。5対5の団体戦だったが、人間側は1勝3敗1分けで負け越した。

 「あの時はびっくりしたのと同時に、とうとうこの時が来たかという話が出ましたが、せめてあと2、3年前にやっていれば、人間側がまだ勝ち越したのではないかと思います。

 将棋界としては面白くないと思っていた人も多かったでしょう。その当時、(将棋ソフトを開発する)我々は敵です。しかし、その後はご存じのように、ソフトを利用して活躍するプロが増えてきたので、もう共存の関係になってきました。

 最初にそのタブーを破ったのは、千田翔太六段でした。彼はNHK将棋講座のテキストに以前、こんな内容のことを書きました。『羽生善治九段が指した将棋はたまに見るけれど、他のプロの棋譜は見ない。ソフト同士が指した棋譜しか見ない』と。それで結構、活躍しています。今はみなさん、堂々と使って強くなっているとおっしゃって、それで何も言われなくなりました」

羽生九段「将棋の新しい可能性を示した」

 今回公開されたアルファゼロの棋譜に対し、羽生善治九段がコメントしている。「玉が将棋盤の中段に出てくるなど、アルファゼロの指し手は将棋の理論に反しており、人間の目から見れば危険なように見える。だが、信じられないことに、それで局面の主導権を握っている。ユニークな指し方は将棋に新たな可能性があることを示すものだ」。棋譜を見ると、玉が中段に逃げながら、相手の攻めをギリギリかわすという将棋が何局もあった。

 「羽生先生は人間がだめだと思ったものの中に、いい手が潜んでいる可能性があることに気が付いたのだと思います。人間なら怖くて指せない手ですよ。見落としがあったら一発で終わりですから。

 だけど、アルファゼロのおかげで考え方が変わるかもしれません。若手の棋士は、どんどん踏み込んでくるようになるのではないでしょうか。アマチュアにもまねをする人が出てくるでしょう。そうなれば、将棋もまた発展していくと思う」

 実際、現代の将棋は既存のソフトの指し方の影響をすでに受けている。

 「今の将棋ソフトは局面全体でバランスをとるという考え方です。少し前までは、玉を堅く囲ってから攻めるという指し方が主流でした。それだとどうしても(玉を固めるために守りの駒を1か所に集めた反動で)反対側にスキができます。(人間がソフトと将棋を指すと)そこを攻められ、たちまち負けになるという展開が多いのです。

 昔、常識だと思われていたことが、ソフトと指すうちに、実はそうではないということが、結構あることがわかってきました。ソフトに指された手を実戦で使ったら、勝ったという例もたくさんあります。早くから気付いていた人は、得をしたのではないでしょうか」

 

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60266 0 深読み 2019/01/13 07:00:00 2019/01/25 10:52:58 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190111-OYT8I50031-T.jpg?type=thumbnail

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