JR東が実験「山手線の自動運転」は実現するか

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あいにく低い国際評価

1964年の読売新聞記事
1964年の読売新聞記事

――日本の鉄道における自動運転は、結構古くからあるそうですね。東京メトロ日比谷線は1964年8月の全線開通時、1編成が一部区間(7.2キロ)で自動運転を行った、という記事が読売新聞に載っています。

 「運転士が出発ボタンさえ押せば、加速~速度制御~定位置停止が全て自動的に行われる」とあるので、STOでしょう。エレベーターで、乗り込んで停車階ボタンを押し、ドアを閉めると動き出しますよね。あれと同じ発想で、出発時には人が関与するのです。

 そもそも、国際基準を満たす自動運転を、世界で初めて成し遂げたのは日本なのですよ。81年開業の新交通システム「ポートライナー」(神戸市)は、完全な無人運転です。ところが、この事実はあまり知られていません。世界的に権威のある鉄道誌「レールウェイ・ガゼット・インターナショナル」でさえ、世界の鉄道史特集で、「世界初の無人運転は、フランス地下鉄VALである」と誤っていました。

――道路を走るタクシーやバスでは、既に公道上で自動運転の実験が行われています。飛び出す人や障害物など、不測の事態が潜んでいる道路に比べれば、線路上を走る鉄道の自動運転のほうが易しい気がしますが。

 その通りです。技術的には、線路内に人が侵入しない対策を講じれば、自動運転はできます。

 日本の鉄道事業者は、自動運転に役立つ最新技術は、積極的に採り入れてきました。例えば仙台市営地下鉄の南北線は87年、最新鋭のファジー制御を導入して注目されました。ところがこの技術は専ら、乗り心地の向上や省エネなどに使われ、自動運転による輸送力増強は後回しにされました。

 海外の研究者がVALの自動運転を世界初と誤解したのは、VALが自動運転の利点を、輸送力増強に存分に生かしていたからです。それに比べ、ポートライナーは「普通の電車が自動で走っているだけ」とみなされたのかもしれません。

――海外と日本とで、鉄道事業者のATOに対する考え方に違いがあるのでしょうか。

 今や海外で、地下鉄の完全な無人運転は珍しくありません。香港の1路線(Tsuen Wan Line)は、無人運転ではありませんが、ATOと加速度に優れた車両のおかげで2分おきに走っています。輸送力は世界最大級でしょう。導入されているATOの水準は最新式ではないのですが、それでもここまでできるのです。

 これに対し、日本の鉄道事業者は「ATOを導入すると、柔軟な運行ができなくなるし、輸送能力もむしろ下がる」と否定的にとらえてきた気がします。つまり、高い技術を持つ人間が運転したほうがよいのだ、と。

 ATOを導入すると柔軟な運行ができにくくなる、つまり融通が利かなくなるのは確かです。運転士であれば「きょうは雨だから、ブレーキをゆっくりかけよう」「遅れ気味だから、少しスピードを上げよう」などと、その場の状況に応じて判断する。ATOはこういうことが苦手です。でも、ATO導入で輸送力が下がるというのは、誤解である可能性が高いと思います。素早く加速、減速できる車両を導入すれば、ATOの持ち味が生かされ、さらなる輸送力向上に貢献できるのですから。

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416331 0 深読み 2019/02/01 07:00:00 2019/02/01 09:16:42 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190131-OYT8I50021-T.jpg?type=thumbnail

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