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コロナ禍で家の昼食「ハンバーガー」激増の理由

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コロナ禍の食卓メニューをデータで分析しました(写真:freeangle/PIXTA)

コロナ禍で生活スタイルや価値観の変化が起こっています。その中の1つが「食」に関することではないでしょうか。

では、この1年で私たちの食卓がどのように変化してきたのか、生活者の調理・食卓の状況を捕捉する「インテージ・キッチンダイアリー」(京浜、京阪神、東海エリアの主婦を対象とした2人以上世帯約1260サンプルによるパネル調査)からひも解いてみたいと思います。

内食率を比較してみる

今回、コロナ禍が本格化した2020年3月以降を2つの期間に分け、3~5月を「コロナ前半」、6~12月を「コロナ後半」としています。

コロナ前半は「第1波」の時期で、リモートワークの急増や全国的な休校措置、飲食店やレジャーサービスの休業などがありました。

コロナ後半は第2波、第3波がやってきて、新規感染者数が高止まりした時期に当たります。新規感染者の数についていえば、第1波よりもはるかに多かったものの、緊急事態宣言は発出されず、リモートワークや行動自粛も限定的となり、比較的行動の自由度が高い時期でした。

はじめに食場面(朝食、昼食、夕食)ごとの内食率について見てみます。内食率とは、各食場面における「内食」「外食」「旅行・外出などのため家で食事をしなかった」のうちの「内食」の割合のことで、内食回数のボリュームを表す指標です。

内食率の前年比を食場面別に見ると、朝食については、コロナ前後で差がほとんどありませんでした。朝食はそもそも家で食べることが圧倒的に多いため、コロナに関係なく、家で食べていたということになります。

昼食、夕食の内食率は、前年と比べると大きく伸びていることがわかります。夕食については、飲食店の休業や時短営業、休日の外出・行楽の減少などが大きな要因であるものと想定されます。

家で昼食というスタイルが根付きつつある

ここで特徴的な動きが見えるのが、昼食です。昼食は夕食以上に顕著な伸びとなっていますが、特にコロナ前半の4月、5月が大きく伸びているのが特徴的です。コロナ前半は、今以上に「ステイホーム」が叫ばれ、最低限の外出しかしなかったという方も多いと思います。結果的に、昼食も家で食べるしかないという状況になったものと推察されます。

コロナ後半は緊急事態宣言が発令されていませんでしたが、それでも前年比10%前後で推移していることから、「家で昼食」はコロナ禍をきっかけに確実に根付きつつ生活スタイルの1つといってもよいかもしれません。

昼食について、もう少し詳しく見ていきましょう。「家での昼食」でどのようなメニューが登場していたかを見てみたいと思います。

コロナ前半、後半で、各メニューが好調だったのか不調だったのかを、主食とおかずの食卓出現率(内食における登場回数の割合)の前年同期比から、ざっくりと次の4つのグループに分けてみました。

グループ①コロナ前半、後半ともに好調だったメニュー
グループ②コロナ前半では低迷したものの、後半復調の兆しが見えたメニュー
グループ③コロナ前半では好調だったものの、後半伸び悩んだメニュー
グループ④コロナ前半、後半ともに低調だったメニュー

まず、コロナ前半・後半ともに好調だったグループ①には、丼やハンバーガー、ラーメン、お好み焼きといったメニューが見られます。ここではデータを示していませんが、ハンバーガーやピザのデリバリー比率や丼の惣菜利用比率などが、2019年と比べてアップしていました。また持ち帰り弁当が伸びているのも特徴的でした。

家で昼食を食べる機会が増えたからといって、平日自宅での仕事の合間に連日食事作りをするのは手間も時間もかかってしまうので、「外部の力」をうまく利用していることがうかがえます。昼食の「外部化ニーズの加速」は、今後も大きな潮流になっていきそうです。

対照的な動きをしているご飯類

グループ②(前半低迷、後半復調)とグループ③(前半好調、後半伸び悩み)では、主食のご飯類が対照的な動きを見せています。

ご飯(いわゆる白ご飯)は前半低迷、復調気味であるのに対して、カレーライスやチャーハン、洋風ライス(ピラフ、オムライスなど)はコロナ前半では大きく伸びたものの、後半になると前年並みに落ち着いています。

麺類は、ラーメンが前半・後半ともに好調なパターン①ですが、スパゲッティはパターン③に該当し、後半になって急激に下火となっています。

こうしたメニューによる好不調の濃淡は、どういったことが要因となって生じているのでしょうか。その1つの答えは、「昼食時に子どもがいるかどうか」にあるように思えます。

食卓への参加率を見てみましょう。

コロナ前半(3~5月)については2019年が家族4人当たり2.5人だったのが、2020年は0.5人増えて3.1人となっています。一方、コロナ後半(6~12月)は前年からほぼ横ばいで推移しました。すなわち、コロナ前半は「昼食の内食が増え、昼食を囲む人数も増えた」、コロナ後半は「昼食の内食が増えたが、昼食を囲む人数は前年並み」という実態です。

コロナ前半は子どもたちが休校により家にいる状態が続いたため、昼食を囲む人の数が前年よりかなり多くなったと分析できます。

子どもの好みを考える必要があった

昼食のメニューに話を戻すと、コロナ前半にカレーライスやチャーハン、洋風ライスが伸びたのは、これまでは「昼食は(主婦が)自分だけだから、昨日のおかずの残りと作り置きの常備菜で済ませればいい」と思っていたのが、子どもたちが家にいるとなるとそういうわけにはいかなくなったということだろうと推測できます。

子どもの好みを考える必要が出てきますし、そもそも残り物だけでは足りないこともあるでしょう。だからといって、準備にそれほど時間をかけている余裕もありません。そこで、「子どもが好き」「おかずがなくてもお腹いっぱい食べられる」「ワンプレート主食」といったキーワードが見えてきます。

チャーハンやスパゲッティなどのメニューは手作りに限らず、さまざまな加工度のもの(冷凍、チルド、惣菜など)が市販されていることから、その時々の状況に合わせた選択がしやすいというもひとつのポイントかもしれません。

一方、コロナ後半でご飯に回帰してきたのは、学校が再開して昼食時に子どもがいなくなったことが要因として考えられます。「自分だけ」、あるいは「夫婦だけ」であれば、残り物のご飯やおかずで済ませられるということでしょう。ご飯が回復するにつれ、おかずとなる焼き魚や肉のソテーなどの主菜、おひたしなどの副菜が回復してきているのが、その裏付けになっているように見えます。

最後にグループ④(前半、後半とも低調)を見てみましょう。

グループ④ではパンが特徴的な動きをしました。パンを詳細に見てみると、ここでは数値は示していませんが、前半、後半ともに菓子パン・惣菜パンの減少幅が大きいことがわかりました。

これまで、主婦が午前中の買い物ついでに菓子パンを買って昼食で食べていたのが、そういった行動パターンがなくなった、もしくは減ったことが示唆されます。

ちなみに漬物・佃煮などの「ご飯のお供」系のメニューは、コロナにかかわらず中長期スパンでダウントレンドのメニューです。

昼食が大きなマーケットに成長へ

最近はコロナ禍の切り札としてワクチンが話題になることが多くなってきましたが、今後どういったイベントがどういったタイムスパンで起きるのかはまだまだ不透明です。ただ「家での昼食」が今後急減して以前の状態に戻ることは考えづらく、ここが大きなマーケットとして成長していくことは間違いなさそうです。

そうなったときに、「昼食の外部化・簡便ニーズの高まり」という潮流が大きな基盤となってきそうですが、そのうえで「食卓に誰が・どれだけいるのか」をイメージすることが、食品産業が昼食マーケットにアプローチする1つのカギになってきそうです。

今回見てきたコロナ後半の動きが、今後想定されうる「ニューノーマル」になっていくのかもしれません。

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1892132 0 東洋経済オンライン 2021/03/11 08:50:57 2021/03/11 08:50:57

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