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ベンツより高級「マイバッハ」3000万円のニーズ

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2代目メルセデス・マイバッハ Sクラス(写真:Daimler)

2021年7月1日、メルセデス・ベンツより2台の新型モデルが発表された。「メルセデス・マイバッハSクラス」と「メルセデス・マイバッハGLS600 4MATIC」の2台だ。

この2台の新型車で注目してほしいのは名前が、「メルセデス・ベンツ」ではなく、「メルセデス・マイバッハ」であること。メルセデス・ベンツのテクノロジーを使いつつも、“マイバッハ”という名前を付加する別ブランドとして世に送り出された2台だ。

では、その「マイバッハ」とは何か。

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これはメルセデス・ベンツの創設期に多大な貢献を果たし、後に自動車メーカーとして独立する技術者の名前だ。

メルセデス・ベンツから離脱したヴィルヘルム・マイバッハと、その息子となるカール・マイバッハは、現在からちょうど100年前となる1921年に第1号車を発表している。当時の最先端の優れた技術と豪華な室内、斬新な設計とデザインを備えたマイバッハのクルマは、走る芸術品として賞賛された。

その後、マイバッハは第2次世界大戦前の欧州で超高級車ブランドとして認められていた。しかし、そんなマイバッハも大戦後は活動を縮小してゆき、1961年からは現在のメルセデス・ベンツの傘下となっている。

価格はベース車両の2倍以上

そんな歴史ある名前を与えられたのが、このたびの新型車「メルセデス・マイバッハSクラス」と「メルセデス・マイバッハGLS600 4MATIC」だ。

その内容を簡単にいってしまえば、最新のメルセデス・ベンツ「Sクラス」と「GLS」を、マイバッハにふさわしい「究極の」「洗練されたラグジュアリー」を目指す車両として改良されたもの。

メルセデス・マイバッハ GLS(写真:Daimler)

価格は、「メルセデス・マイバッハSクラス」が2648万円/3201万円、「メルセデス・マイバッハGLS600 4MATIC」が2729万円。ベースとなるメルセデス・ベンツSクラスやGLSのエントリーグレードと比べると、2倍以上のプライスとなる。もちろん現在のメルセデス・ベンツとしては最上級の価格帯だ。

では、そんな2000万~3000万円もするクルマにニーズはあるのか。その答えはYESだ。ニーズはしっかりと存在する。スーパーカーとして有名なフェラーリやランボルギーニ、マクラーレンなどのスーパーカーは、どれも2000万~3000万円が当たり前だ。

もう少しマイルドで、日常使いできそうなアストンマーティンやベントレーのスポーティセダンやSUVも同様の価格帯となる。さらにロールス・ロイスともなれば3000万円台からスタートし、上は6000万円を超えるモデルも存在する。

そして、そうした超高額車たちは、日本でもしっかり売れている。これら超高額ブランドの2020年1~12月の新規登録台数(日本自動車輸入組合調べ 車名別輸入車新規登録台数)は、ロールス・ロイスは226台、ベントレーが463台、アストンマーティンが196台、フェラーリが1085台、ランボルギーニが631台となる。2000万円オーバーのクルマが、1年間に2600以上も売れているのだ。

ちなみに、同年のシボレーの数字は444台、キャデラックは479台、ロータスは275台だ。シボレーには「コルベット」「カマロ」、キャデラックは「エスカレード」などの有名なモデルも存在するが、それらの価格は高くても1000万円台。

価格は2倍以上するにもかかわらず、シボレーやキャデラックとベントレーは同等の数が売れているし、フェラーリやランボルギーニは、もっとたくさん売れている。ロールス・ロイスは半分しか売れていないが、価格は2倍どころか3倍以上するモデルもある。

ロールス・ロイスのSUV「カリナン」は4085万円から(写真:Rolls-Royce)

価格ベースで見ると、売上額はもっと大きい。なぜなら、ロールス・ロイスを新車購入する顧客は、数百万から1000万円以上ものオプションや特注仕様をオーダーするからだ。内容によっては、1億円近くにもなる。つまり、3000万円どころか、さらに高いクルマであっても、ニーズはしっかりとあるのだ。

「ベンツ」の名で売れるのは2000万円まで

しかし、価格が高ければ、なんでも売れるわけではない。価格に見合った高いブランド価値が求められる。そこでメルセデス・ベンツが持ち出したのが、「マイバッハ」だったのだ。

逆にいえば「メルセデス・ベンツ」の名前では、3000万円超級のクルマは売りづらいと判断した、ということだ。実際、メルセデス・ベンツの最上級モデルは、およそ2000万円である。

メルセデス・ベンツは高級車としての知名度は抜群ではあるが、あまりにも有名すぎるし、「Aクラス」のような300万円台からのエントリーカーや商用車もある。メジャーすぎるゆえに、所有する特別感を高めづらい。しかし、マイバッハの名前であれば別だ。かつての超高級車ブランドを投入する狙いが、ここにある。

ちなみに、今回のメルセデス・マイバッハはまったくの新型モデルではなく、2代目モデルだ。初代のメルセデス・マイバッハSクラスが日本に導入されたのは2015年2月のこと。価格は2200万円からであった。

さらに、その初代メルセデス・マイバッハの前にも、マイバッハの前を持つモデルが販売されていた。それが2002年9月発売の「マイバッハ57」と「マイバッハ62」だ。価格はおよそ4000万~5000万円。57と62は全長の違いとなり、文字通りに全長は57が約5.7m、62が約6.2mだった。エンジンは、どちらも5.5リッターのV12だ。

2002年に発売されたマイバッハシリーズ(写真:Daimler)

このマイバッハ57とマイバッハ62は、現在のメルセデス・マイバッハと異なり、オリジナルの車体を用いた専用車種であり、価格帯も1ランク上を狙っていた。端的にいえば、ロールス・ロイスをライバル視した車格と価格帯となっていたのだ。

ところが、このオリジナルシャシーのマイバッハは、うまくいかなかった。ブランド誕生から10年が経つ直前となる2011年に、ブランド廃止がアナウンスされている。実際に日本で2002年から2011年までの10年間で販売されたマイバッハは164台(日本自動車輸入組合調べ 車名別の推移)にとどまる。一方で、同時期のロールス・ロイスの販売台数は453台であった。

ロールス・ロイスは3000万円台まで“価格を下げた”ゴーストでさらなる拡大を果たした(写真:Rolls-Royce)

ちなみに、マイバッハが廃止となりライバルのいなくなったロールス・ロイスは、その後、さらに販売を伸ばしており、2012~2020年の9年間では1659台も売っている。対ロールス・ロイスという点で、オリジナルシャシーのマイバッハは完敗であったのだ。

競合ではなく“棲み分け”という戦略

振り返ってみれば、メルセデス・マイバッハは、マイバッハよりも車格を1ランク落とすことでロールス・ロイスとの競合を避けたモデルといえるだろう。

素のメルセデス・ベンツ Sクラスが1000万~2000万円を中心価格帯にするのであれば、メルセデス・マイバッハは、その上の2000万~3000万円台を担う。3000万~6000万円というロールス・ロイスとは異なる価格帯で、棲み分けを狙っているのだ。

筆者のような庶民からすれば、1000万円クラスの素のSクラスでさえ、雲の上の存在となるが、実際のところ、そのうえにはメルセデス・マイバッハがあり、さらに上にロールス・ロイスが君臨している。世の中は広いというほかにない。

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2201161 0 東洋経済オンライン 2021/07/29 08:26:22 2021/07/29 08:26:22 2021/07/29 08:26:22

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