けた外れの覚悟があれば5区はいける…山の神・柏原竜二の回想

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「僕が苦しいのは1時間ちょっと」

 この大会の往路優勝のインタビューで、柏原は名言を残す。「僕が苦しいのはたった1時間ちょっと。福島の人たちに比べたら全然きつくなかった」。前年3月の東日本大震災で被災した故郷・福島県への思いが詰まった言葉だった。このメッセージは、被災地を中心に大きな反響を呼んだ。

現在は富士通社員として、陸上部やアメリカンフットボール部、女子バスケットボール部の支援に携わる柏原
現在は富士通社員として、陸上部やアメリカンフットボール部、女子バスケットボール部の支援に携わる柏原

 「あれはとっさに出た言葉で、数十分おいて、『言い方にトゲがあったんじゃないか。ちゃんと伝わるだろうか』と悩んだんです。でも、メディアの方で非常にいい伝え方をしてくださった。福島に帰った時、『よく、あれを言ってくれた』と多くの方々に言っていただき、ああ、ちゃんと伝わってよかったなあと思いました」

 

 4年間で3度の優勝。記録も残した。箱根駅伝は思い出深い大会には違いないが、一方で、良い思い出だけではなかった。

 「箱根で初優勝した時はうれしかった半面、反動がすごかったんですよね。街中を歩いていれば指をさされたり、SNSに書かれたりとか。電車に乗っていたら、眠いのにたたき起こされたりとか。自分の生活環境が一気に変わって。酸いも甘いも人生を教えてくれました」

 

 卒業後は実業団の富士通に入り、マラソンにも挑戦したが、相次ぐ故障に泣かされた。2017年4月に現役引退を発表。2年近くが経過して、最近は、箱根駅伝関連の記事やテレビ、ラジオ番組に積極的に登場するようになった。

 「嫌な思いは消えてはいないんですが、万が一、自分と似たような思いで悩んでいる人がいるのであれば、それは自分が何とかしなきゃいけないと思っています。僕は自分が思っていることと、世間が自分に対して思っていることのギャップが埋められなかった。例えば、いくら『トラックも頑張ります』と言っても記事に書いてもらえないとか。『山の神』と呼ばれることへの反発心は、間違いなくありました。どうやってそのギャップを埋めていくか、(自分の経験を通して)少しでも道しるべになれればいいなと思っています」

 

 平成最後の箱根駅伝に臨む選手たちへ、どんなことを望むのか。

 「箱根に限らず、駅伝って自分との勝負だと思う。チームの勝った負けたもあるが、掘り下げれば(各選手が)自分との勝負に勝った負けたで、チームの勝敗も決まってくる。自分に何ができて、何が足りないのか。その足りない部分は、誰が補ってくれるのか。そこに早く気づいて、リスペクトを持ってほしい。そうしたことを常に自分で考えて、自分が持っている最高のパフォーマンスを出してほしいと思います」

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