[箱根駅伝 有力5チーム監督トークバトル]新時代の戦い…勝負の一手は

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 第96回東京箱根間往復大学駅伝競走(来年1月2、3日・読売新聞社~箱根・芦ノ湖217・1キロ)に出場する有力校の監督が語り合う「第96回箱根駅伝トークバトル」が10日、東京・恵比寿ガーデンプレイスで開かれた。1920年の第1回大会から100周年のレースへ向け、連覇がかかる東海大、王座奪還を目指す青学大、前回3位の東洋大に駒大、帝京大の監督が、注目選手や今大会への意気込みなどを、激しくぶつけ合った。

 

連覇へ 選手層に厚み…東海大 両角速

もろずみ・はやし 1966年生まれ。長野・東海大三高から東海大。箱根駅伝4回出場。95年、長野・佐久長聖高に着任。2011年から東海大監督。前回、箱根駅伝初優勝。
もろずみ・はやし 1966年生まれ。長野・東海大三高から東海大。箱根駅伝4回出場。95年、長野・佐久長聖高に着任。2011年から東海大監督。前回、箱根駅伝初優勝。

 目標順位

 ――ズバリ、今大会の目標順位は。

 両角 往路3位以内、総合優勝。レベルが上がっているので、しっかり往路で3位以内に入って、復路で巻き返しをしたい。

 ――復路で逆転。どのくらいでというイメージは。

 両角 前回は8区で逆転したが、アンカーまでもつれ込む、それぐらい接戦だと思う。

 ――原監督は往路3位以内、1分以内、総合優勝。

 原 1分以内に往路を終えれば、チャンスが出てくるかなと。10区間トータルで戦うのが今回の青学大なので。

 ――酒井監督は、往路1位、総合1位。

 酒井 往路3連覇が目標。東海大、青学大に比べると選手層が薄いので、往路でしっかり流れをつくり、主導権を握りたい。

 ――大八木監督は、往路3位以内、総合3位以内。

 上田 本音じゃない。

 大八木 前回4位なので、着実に上を目指そうと。だけど往路はトップを狙っていかないと、3番以内には入れない感じがある。

 中野 前回は5位。5位からちょっとでも隙があれば一角を崩したい。

 ――一角を崩すといえば、出雲(※1)優勝の国学院大。大八木監督の教え子の前田監督(※2)が、箱根でも暴れるのでは。

 大八木 出雲は負けて悔しいのと、ほめたいのもあったけど、箱根はまた別。往路をとりにくると思うが、そんなに甘いもんじゃないぞと言いたい。

 

奪還「やっぱり大作戦」…青学大 原晋

はら・すすむ 1967年生まれ。広島・世羅高から中京大。中国電力で競技後、営業担当などを経験し、2004年に監督就任。09年に33年ぶりに箱根駅伝出場を果たし、15年から4連覇。
はら・すすむ 1967年生まれ。広島・世羅高から中京大。中国電力で競技後、営業担当などを経験し、2004年に監督就任。09年に33年ぶりに箱根駅伝出場を果たし、15年から4連覇。

 注目選手

 ――16人の登録選手の意図、プラン、期待について。

 中野 4年、3年、2年、1年で言うと、6人、6人、3人、1人。大学生は上級生が頑張るものだと思う。

 大八木 1年生が元気がよく、上級生も頑張る傾向があった。1年の田沢(※3)は、当然主力区間に。

 酒井 エース相沢(※4)を中心に、特に1年生がエントリー直前に調子を上げてきた。上級生にも、未経験者が多いのが特徴。

 ――東洋大はOBの服部選手(※5)がマラソン五輪代表に決まったり、学生でも競歩五輪代表(※6)になったりした。

 酒井 50キロ競歩代表に内定したのは3年生。(同学年の)西山(※7)、吉川(※8)らに大きな刺激になっている。彼らが頑張ることでエース相沢の走りも変わってくる。

 上田 原監督、今回の作戦は。

 原 やっぱり大作戦。春先から非常に状態が悪く、今年は弱くなったと思ったファンも多かっただろうが、最後はやっぱり4年生強かった、やっぱり青山学院強かった、やっぱり青山学院を応援してよかったと、笑顔のゴールができればと。

 両角 前回経験者8人のうち7人をエントリーしたが、前回が終わって、その8人が走るようでは連覇はないと思った。部内競争があって連覇を目指し、台頭してきた選手が特に3年生に多くいる。その意味では選手層が少し厚みを増したのかなと思う。

 ――けがで苦しんだ選手も。

 両角 館沢(※9)がしっかり戻ってきた。どことは言えないが、起用する予定。

 ――次は他の監督への質問。

 中野 1区、2区は誰ですか。

 大八木 難しい。今一番悩んでる。多分、4年生、3年生からいくと思う。

 酒井 経験者は1区が西山、2区は相沢。調子を上げてくればほかの選手もあるが、経験者を使うパーセンテージは高いと思う。

 原 出雲、全日本(※10)と湯原(※11)を1区に使い、そこそこで来た。キャプテンの鈴木(※12)も経験がある。岸本(※13)も使えるのかなというところ。

 両角 1区は鬼塚(※14)が2回経験し、出雲は西川(※15)、全日本は小松(※16)がやって、誰でもいける態勢。2区は阪口(※17)が経験をしているが、名取(※18)、塩沢(※19)も面白いので、お楽しみにということで。

 

エースと1年生 好調…東洋大 酒井俊幸

さかい・としゆき 1976年生まれ。福島・学法石川高から東洋大。箱根駅伝は3回出場。2009年に監督に就任し、箱根駅伝優勝3回、2位5回、3位2回。
さかい・としゆき 1976年生まれ。福島・学法石川高から東洋大。箱根駅伝は3回出場。2009年に監督に就任し、箱根駅伝優勝3回、2位5回、3位2回。

 キーワード

 ――大八木監督の質問は、選手とのコミュニケーション。

 原 寮で学生と共同生活をしているので、毎朝、食事のときに必ず「いただきます」に立ち会うようにはしている。その時、「最近、彼女と仲よくしてるか」とかたわいもない話をする。

 両角 一緒にランニングをして汗をかく。このコミュニケーションが一番、時間もじっくりとれ、いろいろなことを聞き出せる。

 ――酒井監督の質問は、最も使うキーワード。

 両角 夢を聞き出し、語る。学生は目標を持っているし、将来どうなりたいとか、夢は何かとかを語りかける。夢がキーワード。

 原 希望を与える言葉を使う。時代をつくるぞとか。そして、ほんの少しうそをつく。区間新記録まで30秒のところ、10秒頑張ったら出るぞと。届くかも、というようなところで、うそも方便というか。

 中野 競技も生き様も平均値を上げ、一回できただけじゃだめだと。もう一回できる再現性が、強さや安定感に結びつくので。

 大八木 選手の個性を見ながら練習の初めは厳しく、終わったら優しい言葉で、将来お前はこうなる、素晴らしいという。終わった後に声をかけるのが大事。

 

走る前もノーミスで…駒大 大八木弘明

おおやぎ・ひろあき 1958年生まれ。福島・会津工高出身。駒大で箱根駅伝区間賞2回。指導者で箱根駅伝6回、全日本大学駅伝12回、出雲駅伝3回優勝。
おおやぎ・ひろあき 1958年生まれ。福島・会津工高出身。駒大で箱根駅伝区間賞2回。指導者で箱根駅伝6回、全日本大学駅伝12回、出雲駅伝3回優勝。

 ポイント

 ――勝敗を分けるポイントはどこか。

 中野 ミスをなくすこと。インフルエンザとか、自転車で転んでけがをしたとか、そういうミス。

 大八木 ノーミスで走る。1区間でもちょっとしたミスで、勝敗は分かれる。中野監督が言ったように、走る前も含め、ミスをしたところで勝敗は変わる。

 酒井 スピードレースなら選手層。昨今、総合タイムは10時間50分前後の戦い。今は多くの大学がその力はあるが、それを出せるかどうか。各区間1分ぐらい走力を上げないと、総合優勝は狙えない。

 上田 攻めてミスを誘発するリスクもあるが、それを乗り越えなければ次のステージ、世界は見えてこない。その感覚は今、箱根駅伝の各大学の指導者も、選手も持っている。

 原 しっかりスタートラインへ、万全な状態で立つことが大前提。それで結果はついてくる。まずはスタートラインに立たせることに重点を置きたい。

 両角 起用。要は誰をどこに使うか。集団走が得意とか、アップダウンが得意とかだけでは起用できない部分がある。場面に合った選手を起用できるか、そういう場面に持ち込めるかがポイントだと思う。

 上田 走力だけではなくシチュエーションも、監督が1区からシナリオを書いている。性格やレース展開でどう爆発力を出させるかまで、読みが勝負。

 ――ファンの質問。監督車の中の雰囲気は。監督車からの声かけで気をつけていることは。

 大八木 マネジャーと審判がいるので、おとなしいですよ中は。声かけのときは1分間で伝えないといけないので、ポジティブになるよう、やる気を出させる言葉を考えている。

 ――前回の8区は東海大と東洋大がずっと並走したが、指示を出すと相手にも聞こえてしまう。どう考えてやっているのか。

 両角 本当に難しかったが、結局、小松は聞こえていなかったと。何だったんだと。声援に消されて。

 酒井 大声援もあるし、本人がゾーンに入っているときや、余裕がないときもそう。だから、反応を見て、声をかけている。

 上田 運営管理車はプロのドライバー、審判、学連役員、チームのマネジャーが乗り、監督が前に座る。1、3、5、10、15、20キロまたはあと3キロ、あと1キロで1分間声をかけ、それ以外は認められない。

 

今まで以上の価値を…帝京大 中野孝行

なかの・たかゆき 1963年生まれ。北海道・白糠高から国士舘大。箱根駅伝に4年連続出場。2005年から帝京大監督。13年に過去最高タイの4位。意気込み
なかの・たかゆき 1963年生まれ。北海道・白糠高から国士舘大。箱根駅伝に4年連続出場。2005年から帝京大監督。13年に過去最高タイの4位。意気込み
監督たちに拍手を送る観客
監督たちに拍手を送る観客

 ――最後に96回大会にかける意気込みを。

 中野 学生にいつも言うのは、箱根駅伝をケチなものにするなと。今まで以上に価値のあるものにしたい。全チームが安全に、しっかりとゴールできたら、一つの成功なのかなと思う。

 大八木 この大会は本当に国民的行事みたいなもの。私たち関係者が盛り上げ、この大会を素晴らしいものにしていければ。

 酒井 学生たちが自分の力を引き出し、感動を与える走りができるよう、私たちが努めていくべきだ。その先に、五輪や学生たちの夢の実現がある。攻めの走りを目指しながら、そこに向かっていきたい。

 原 ラグビーのワールドカップが日本中を熱狂させたけど、箱根駅伝もすごいな、感動した、そういう大会にしていければと思う。また、やっぱり最後は青山学院強かった、というところを大手町で見せたい。

 両角 意気込みとしては2連覇、これを目指して一生懸命やっていきたい。

 上田 今回100周年。選手たちだけでなく、箱根駅伝を応援していただける全ての方が、その歴史の継承者。そういう箱根の歴史を継承していくということを、全てのランナーが体現してくれると思う。

         ◇

※1 出雲全日本大学選抜駅伝 国学院大が最終区の逆転で初優勝。2位に駒大、3位に東洋大が入った。

※2 国学院大・前田康弘監督 駒大で大八木現監督の指導を受け、2000年大会には主将として総合初優勝を果たした。09年から国学院大監督。

※3 駒大・田沢廉(1年) ルーキーながら1万メートルで28分13秒21をマーク。出雲3区2位、全日本7区1位。

※4 東洋大・相沢晃(4年)=写真= ユニバーシアード・ハーフマラソン金メダリスト。前回4区で区間新。今季の出雲と全日本の3区で連続区間賞。

※5 服部勇馬(トヨタ自動車) 東洋大出身。マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)で2位となり東京五輪代表に内定。

※6 競歩五輪代表 東洋大の川野将虎(3年)が10月の全日本50キロ競歩高畠大会で日本新記録で優勝し、東京五輪代表に内定。

※7 東洋大・西山和弥(3年) 2大会連続1区区間賞。今季は出雲1区10位、全日本5区11位と不調続き。

※8 東洋大・吉川洋次(3年) 前々回4区2位、前回3区4位。

※9 東海大・館沢亨次(4年) 主将。前回4区2位。2018年日本選手権男子1500メートル優勝のスピードランナー。

※10 全日本大学駅伝 東海大が最終区の逆転で優勝。2位青学大、3位駒大。

※11 青学大・湯原慶吾(2年) 出雲と全日本の1区で連続7位。前回箱根は不出場。

※12 青学大・鈴木塁人(4年) 主将。前回10区2位。前々回1区5位。

※13 青学大・岸本大紀(1年) 出雲2区区間賞、全日本2区5位。

※14 東海大・鬼塚翔太(4年) 1年で1区2位、前々回3区3位、前回1区6位。

※15 東海大・西川雄一朗(4年) 出雲1区4位。全日本2区10位。前回箱根は3区7位。

※16 東海大・小松陽平(4年) 前回8区区間新で金栗杯獲得。今季の全日本1区3位。

※17 東海大・阪口竜平(4年)=写真= 日本選手権3000メートル障害優勝。前々回2区7位、前回7区2位。

※18 東海大・名取燎太(3年) 大学3大駅伝デビュー戦の今季の全日本8区で日本人トップの2位。

※19 東海大・塩沢稀夕(3年) 1万メートル28分16秒17。出雲3区6位、全日本3区3位。箱根未経験。

         ◇

コーディネーター 上田誠仁

うえだ・まさひと 関東学生陸上競技連盟駅伝対策委員長。山梨学院大陸上部監督。指導者で箱根駅伝優勝3回。順大出身。
うえだ・まさひと 関東学生陸上競技連盟駅伝対策委員長。山梨学院大陸上部監督。指導者で箱根駅伝優勝3回。順大出身。
司会・平川健太郎(日本テレビアナウンサー)
司会・平川健太郎(日本テレビアナウンサー)

 ◆箱根駅伝公式サイト 過去の記録を集めたデータベースや、箱根駅伝関連の最新ニュースなどを収録。関連イベント情報などを随時、更新していく。http://www.hakone-ekiden.jp

         ◇

主催 関東学生陸上競技連盟

共催 読売新聞社

特別後援 日本テレビ放送網

後援 報知新聞社

特別協賛 サッポロホールディングス

協賛 ミズノ、トヨタ自動車、セコム、敷島製パン

無断転載禁止
961010 0 読み物 2019/12/20 05:00:00 2019/12/20 22:24:29 2019/12/20 22:24:29 後日組み「第96回箱根駅伝監督トークバトル」特集面用:東海大の両角速監督(12月10日、東京都目黒区のザ・ガーデンホールで)=清水敏明撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/12/20191219-OYT8I50096-T.jpg?type=thumbnail

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