東洋大の相沢晃、明治大の阿部弘輝…ガクセキ最強世代、箱根駅伝で輝くか

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 第96回箱根駅伝では、「ガクセキ」というキーワードに、ぜひ注目してほしい。今大会のエントリー選手のうち、出身高校別で2番目に多い9人を輩出した学法石川高(福島)の愛称だ。東洋大のエース相沢晃をはじめ、ガクセキ「最強世代」と呼ばれた現在の4年生が、多くの大学の中心メンバーとして集大成の箱根路に臨む。(西口大地)

2019年6月、日本選手権の男子5000メートルに出場した東洋大4年の相沢(ゼッケン132)
2019年6月、日本選手権の男子5000メートルに出場した東洋大4年の相沢(ゼッケン132)

東京オリンピックも視野に

 ガクセキ勢9人のうち、4年生は4人いる。その中でも相沢は、2019年の3大駅伝全てで新記録を出しての区間賞を獲得し、7月のユニバーシアードではハーフマラソンで優勝した。「学生長距離界のエース」と称される。明治大の阿部弘輝も、1万メートルで今大会に出場する日本人でトップの27分56秒45の自己記録を持っているうえ、ユニバーシアードでは1万メートルで銀メダルに輝いた。

 2人は1964年東京オリンピック男子マラソン銅メダリスト・円谷幸吉の故郷、福島県須賀川市の出身だ。中学時代から地元のスポーツ少年団で切磋琢磨(せっさたくま)してきた。相沢は「ずっと一緒に走ってきて、一緒に(長距離界を)引っ張っていこうと思っている」と語り、阿部も「今は相沢の方が強い感じですけど、まだまだ勝負は始まったばかり」と強調。ともに、2020年は東京オリンピック出場を視野に入れる。

 田母神一喜(中央大)は大学入学後、中距離に専念し、4月のアジア選手権では1500メートルで7位に入賞した。今季は低迷するチームの主将を担う中で、東京オリンピックへの思いを一時封印し、箱根駅伝への挑戦を決断。夏場から本格的に長距離の練習に取り組み、今大会のエントリーメンバー16人に食い込んだ。真船恭輔(東京国際大)は今季の予選会をトップ通過し、全日本でも4位に躍進したチームの主力を務め、箱根では3大会連続の出走が期待される。

 日本大の阿部涼は、2018年に関東学生連合チームの一員として箱根路を走ったが、今回はけがでエントリー外となった。日体大の小松力歩もエントリーを外れたが、主将としてチームの精神的支柱だ。小松は「対個人では勝てなくても、対チームでは絶対に負けない」と高校の同期たちへの対抗心を隠さない。相沢、阿部弘、田母神を含め、大学駅伝でしのぎを削る同期6人の多くが主将を任され、各校に欠かせない存在となった。

北海道での陸上長距離記録会で男子5000メートルを走る明治大・阿部弘輝(2019年7月)
北海道での陸上長距離記録会で男子5000メートルを走る明治大・阿部弘輝(2019年7月)

恩師も認める個性派集団「入学時からやんちゃだった」

 「最強世代」を指導した学法石川高の松田和宏監督は「入学した頃からやんちゃな学年でした」と、個性派ぞろいのメンバーを懐かしむ。主体的に練習メニューを考えたり、オフの日に監督の目を盗んで自主的にタイムトライアルを行ったりと、貪欲に成長を求める姿勢が強く、相沢も「毎回の練習が競い合う勝負みたいな感じだった」と振り返る。

 ロードでの練習はほとんど行わず、将来を見据えたスピード強化に徹底して重点を置く松田監督の指導の元、3年時には田母神が全国高校総体1500メートルで優勝し、世界ユース選手権で800メートルに出場。相沢と阿部弘は高校トップ選手の目安となる5000メートル13分台をマークするなど、全国高校駅伝でも優勝候補の一角に挙がる強豪校へと飛躍を遂げた。

 最強世代を生んだ大きな要因の一つが、一学年下の遠藤日向(現住友電工)の存在だ。5000メートルで高校1年歴代トップの13分58秒93を記録し、その後も世代別の世界大会で活躍したホープは、松田監督いわく「先輩に対して結構、物も言って、同学年のように扱われていた」。天才と呼ばれた後輩の強烈な突き上げは、実力者ぞろいの世代に慢心を許さず、チーム内の競争を活性化するスパイスだった。

高校時代の遠藤日向
高校時代の遠藤日向

 遠藤は高校卒業後、東京オリンピック挑戦を最優先するため、実業団に進むことを選択。昨季途中からはアメリカのプロチームで継続的に練習参加し、さらなる研鑽を積んでいる。相沢が「大学へ行かず、1人で海外に行くという決断は僕にはできないし、高校の時はそんなことを考える余裕もなかった。尊敬している」と語るように、今も変わらず先輩たちの発奮材料となっている。

高卒時の誓い「僕らは伸びる」

 松田監督には、今も忘れられない光景がある。2015年12月、最強世代にとって最後の全国高校駅伝が7位に終わった翌日、地元の福島県石川町に戻り、3年生にとって最後の練習を終えた後、主将の阿部弘が言った。「ガクセキの卒業生は上に行って伸びないと言われているけど、僕らの学年は絶対に伸びます!」。

 5000メートル13分台など高校トップ級の力を持った先輩たちが、期待通りに大学や実業団で成績を伸ばせていなかったことに対する一部の批判は、選手たちの耳にも届いていた。大学進学後、あえて口に出して確認することはないものの、「あの阿部の言葉は、みんなが覚えている」と小松は言う。

都道府県対抗男子駅伝で初優勝し、喜ぶ福島県代表チーム
都道府県対抗男子駅伝で初優勝し、喜ぶ福島県代表チーム

 阿部弘の宣言通り、最強世代のガクセキ勢は、今や大学長距離界の「顔」となった。19年1月の都道府県対抗男子駅伝では、OBの相沢、阿部弘を含む5人の学法石川勢が中心となった福島県代表が、県勢悲願の初優勝を達成した。このチームでコーチを務めた松田監督は「この学年が(評価を)ひっくり返してくれました」と目を細める。

 最後の箱根駅伝を前に、田母神が「あの強いチームにいたことを誇りに思うし、(同期が)ずっと刺激になって楽しい」と語れば、相沢も「すごく刺激し合える仲間だなと思う。走るからには、絶対に負けない気持ちを持って臨めればいい」と力を込める。4年分の成長を、走りで、リーダーシップで示し、「ガクセキ」の名をさらに全国へ知らしめる。

無断転載禁止
978478 0 ニュース 2019/12/30 22:00:00 2019/12/30 22:00:00 2019/12/30 22:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/12/20191230-OYT1I50032-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
The Japan News
発言小町
OTEKOMACHI
ささっとー
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
挑むKANSAI
読売新聞社からのお知らせ