[箱根駅伝]駆け抜けた未来のスター候補たち

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 2、3日に行われた第96回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝=読売新聞社共催)では、令和の新時代を担う新鋭が華々しい活躍を見せた。「花の2区」では並み居るエースを抑えてルーキーが先頭で中継所に飛び込み、5区では「山の神」の後継者候補が新記録の区間賞に輝いた。来季以降はチームの柱としての活躍が期待される、未来のスター候補たちを紹介する。

スピード、度胸 満点…青学大2区 岸本大紀(1年)

1年生ながら2区で快走した青学大の岸本大紀=大原一郎撮影
1年生ながら2区で快走した青学大の岸本大紀=大原一郎撮影

 ルーキーとは思えない勝負強さだった。数々の名ランナーが激戦を演じてきた「花の2区」に1年生で抜てきされた。早大の太田智樹(4年)、東海大の塩沢稀夕きせき(3年)、国学院大の土方英和(4年)ら各校のエースとの激戦を制し、トップで戸塚中継所に飛び込んでみせた。

 持ち味は積極性。吉田圭太(3年)、鈴木塁人たかと(4年)ら1万メートル28分台のタイムを持つ主力の中でも、前半から突っ込む思い切りの良さが光る。1区の吉田が7位でつなぐと、序盤から一気にとばして先頭集団に食らいついた。その後は集団の後方で潜み、22キロ過ぎにスパート。区間5位の1時間7分3秒に、「初の箱根で自分らしい走りができ、自信になった」と胸を張った。

 度胸とスピードに加え、原すすむ監督が見込んだのは寮生活での振る舞いだ。厳しい練習の後でも欠かさず白米をおかわりするなど、食事量はチーム随一。競技と勉強をしっかり両立し、淡々と寮生活を送っていた。

 原監督はその姿を頼もしく見つめ、一色恭志いっしきただし(GMOインターネットグループ)、神野大地(セルソース)ら歴代のエースと比較して「能力は過去最高」と評価する。

 「監督を信じて練習すれば成長できる。勝負を決めるランナーになりたい」と岸本。青学大を箱根王者に押し上げてきたエースは、チーム内で敬意を込めて「駅伝男」と呼ばれる。その後継者として、高らかに名乗りを上げた。(佐藤謙治)

伸び盛り シード死守…早大7区 鈴木創士(1年)

7区区間2位の好走を見せた早大の鈴木創士(手前)
7区区間2位の好走を見せた早大の鈴木創士(手前)

 早大の2年連続シード落ちの危機を救った。7区で区間2位の激走を見せたルーキーは、「ここまでできるとは思わなかった」と声を弾ませた。

 チームは復路9番目にスタートしたが、6区で12位まで後退した。「自分がいい流れを作る」と、最初から飛ばした。10キロ付近の給水を機に並走していた2人を振り切り、独走。終盤には創価大、中央学院大を抜き、再び9位に押し上げた。

 静岡・浜松日体高時代から注目される存在だったが、大学で走り込む距離がほぼ倍増し、一気に伸びた。「陸上では死んでも負けたくない」と言う気の強さも魅力で、練習中に200メートルを24秒で走る先輩に何度も勝負を挑んだ。一度も勝てなかったが、そのたびに「もっと強くなりたい」と、練習に打ち込んだ。11月には1万メートルで28分48秒26と自己ベストを大幅に伸ばし、箱根でも実力を示した。

 「将来は1万メートルで27分30秒は出せると思う」と自信を見せつつ、今のところ陸上は大学で一区切りと考えている。「IT関係の起業に挑戦してみたいので」。その分、大学時代は陸上にありったけの情熱を注ぎ込むつもりだ。(工藤圭太)

監督の活 7人抜き…駒大3区 田沢廉(1年)

4区へタスキをつないだ駒大の田沢廉(右)
4区へタスキをつないだ駒大の田沢廉(右)

 大八木弘明監督に示された目標タイムは1時間1分30秒。3区の区間記録から4秒遅いだけの設定に「無理だ」とひるんだ。しかし、ふたを開けてみれば、目標を5秒上回る快走。「沿道の応援が途切れず、疲れを感じなかった」と心地よさそうに振り返った。

 1、2区で波に乗れず、13位でタスキを受けた。「流れを変えてやる」。しかし、意気込みとは裏腹に、緊張から最初の1キロは想定よりスローペースになった。すかさず大八木監督に「遅い」と活を入れられ、目が覚めた。1メートル80の長身を生かしたダイナミックなフォームで7人抜きを演じた。

 経験豊富な指揮官が、東京五輪マラソン代表に内定したOBの中村匠吾(富士通)クラスとほれ込む逸材。入学早々、中村と練習させて「レベルが違う」と力の差を実感させたのも、国内トップを目指す覚悟を固めてほしかったからだ。

 監督の意図した通り、早くもチームの柱となったルーキーに慢心はない。2区で驚異的な区間新を出した相沢晃(東洋大4年)の名前を挙げ、「相沢さんのように、あいつには勝てないと思われる選手になりたい」。名門のエースとして歩む道が始まった。(平野和彦)

「山の神」継承へ一歩…東洋大5区 宮下隼人(2年)

5区で区間新記録を作った東洋大の宮下隼人
5区で区間新記録を作った東洋大の宮下隼人

 「新・山の神」と呼ばれた東洋大OBの柏原竜二さんに憧れた。山梨県富士吉田市出身で、中学時代から5区を走る日を思い描いて富士山のふもとを走った。初挑戦の舞台で、従来の記録を29秒更新する区間賞を獲得し、「とても楽しく走れた」と目を輝かせた。

 山梨・富士河口湖高では無名の存在だったが、昨年5月の関東学生対校選手権ハーフマラソンで日本人トップの2位に入り、「ものすごい自信になった」。ところが、アンカーに抜てきされた11月の全日本では3位から2人に抜かれ、区間8位にとどまった。悔し涙に暮れ、「いい流れの中で少しおごりがあった。初心に戻り、基礎から作り直そう」と誓った。

 エース相沢晃(4年)ら先輩から「山の神になれよ」と送り出された箱根路では、故郷の山道で刻み込んだ「きつい後半こそ強く腕を振る」走りで、力強く山を駆け上った。3人抜きで不振のチームを11位に押し上げ、総合10位でのシード権確保に大きく貢献した。

 相沢が抜ける来季、酒井俊幸監督が「チームを背負えるような選手になってほしい」と期待する逸材。鉄紺のエース継承へ第一歩を踏み出した。(西口大地)

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984560 0 ニュース 2020/01/06 05:00:00 2020/01/06 11:13:45 2020/01/06 11:13:45 2区でトップに立った青学大の岸本大紀(2日)=大原一郎撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/01/20200105-OYT1I50045-T.jpg?type=thumbnail

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