区間新で区間賞、それだけを見据えて…田沢廉(駒沢大2年)箱根駅伝エースの群像
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第97回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)は来年1月2、3日、東京・大手町の読売新聞社前から箱根・芦ノ湖までを往復する10区間217・1キロで行われる。13年ぶりの頂点を狙う駒沢大の田沢廉(2年)ら、チームの浮沈を握る強豪校のエースランナーを紹介する。

大学に入って強気になった
アンカーを務めた全日本大学駅伝。スタート直後から東海大の名取燎太(4年)の背後でじっと勝機を待った。残り1・3キロ。そこまでの我慢を一気に解き放ち、鮮烈なスパートで栄冠をつかんだ。勝利を確実に引き寄せる勝負強さが光った。
辛口の大八木弘明監督が「毎回、期待を上回ってくれる。こんな楽しい選手に出会える機会はそうはない」とうなるほどの逸材。特に今年は「僕がチームを引っ張らないと」というエースの自負を胸に、常に求められたペースを1秒でも上回ろうと攻めの走りを磨いた。
高校時代は自信がなく、レースでも消極的だったという。しかし、駒大で厳しい練習に挑むうち、「想像もつかなかった」という強気な自分を見いだした。12月の日本選手権1万メートルでは日本新ペースの先頭集団に食らいつき、学生最高の8位に入ったが、「トップ選手とは試合運びに差があった」。20歳にして、学生界にとどまらないレベルを意識する。
走る区間はこだわらず、「区間新で区間賞」だけを見据える。「優勝、そして最低でも総合3位の目標には、エースがしっかり走らなきゃだめですから」。他を圧倒する走りで、藤色のタスキをつなぐと決めている。(後藤静華)
