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55年ぶりの快挙に数秒差…駒沢大の箱根駅伝ランナー・田沢廉と鈴木芽吹、日本選手権1万メートル激走の価値

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 トラック長距離の国内王者を決める日本選手権1万メートル。5月3日、東京五輪代表をかけて静岡のエコパスタジアムで行われた大一番で、実業団の実力者に真っ向勝負し、頂点を争い、大きな飛躍を遂げた箱根ランナーたちがいた。(編集委員 近藤雄二)

陸上・日本選手権の男子1万メートルで2位になった駒大の田沢廉(左)と3位の鈴木芽吹(3日、エコパスタジアムで)=関口寛人撮影
陸上・日本選手権の男子1万メートルで2位になった駒大の田沢廉(左)と3位の鈴木芽吹(3日、エコパスタジアムで)=関口寛人撮影

ホンダ・伊藤達彦と3人で互角の勝負

 今大会、ひそかに楽しみにしていたことがあった。それは、学生の日本チャンピオン誕生だった。

 大会前、歴代優勝者を眺めていて少し驚いた。日本人学生の優勝は1万メートルでは何と1966年の土谷和夫(日大)まで遡る。高度なスピードとスタミナの両立が必要な長距離では、実業団選手の壁が、それほど高い証しだ。

 しかし、今回は昨年12月の日本選手権で27分46秒09を出して8位入賞した駒沢大の3年生主将、田沢廉が出場する。学生界のエースに、期待が高まるではないか。

 レースは、オープン参加の外国人選手が東京五輪参加標準記録に相当する27分28秒0を狙う超ハイペースで進んだ。20歳の田沢も期待通りピタリとつき、6000メートル過ぎで5人の日本人トップ集団に残った。意外だったのが田沢の一つ下の後輩、鈴木芽吹めぶき(2年)が、田沢の前にいたことだ。そして、その存在がレースを揺さぶることになる。

 鈴木は駒大が総合優勝した今年の箱根駅伝5区で、区間4位と健闘した売り出し中の19歳。3月の学生ハーフマラソンで各校のエースをしのいで2位に入ると、4月には1万メートルで28分0秒67の自己新をマーク。「今回はノープレッシャーだったので、とにかく日本のトップに挑戦して27分台が出ればいいなと」。若き勢いと持ち前の度胸を、思い切りぶつけた。そして6800メートル、ついに日本人トップに躍り出て集団を3人に絞り込んだ。

 これに最も驚いたのが田沢だった。「完全に想定外。本当にびっくりしました。これは絶対負けられないと思いました」。田沢は2月から約1か月、右大腿だいたい骨を疲労骨折して走れなかった。準備不足の今大会は、27分台なら合格点と思っていたが、鈴木がエースの心に火をつけた。

 残り700メートル。既に標準記録を切って3位以内なら規定で代表に決まるため、終始3番手をキープしていた伊藤達彦(ホンダ)が猛スパート。田沢も追うが、勝負あった。伊藤は27分33秒38で優勝。田沢が27分39秒21、鈴木は27分41秒68で続き、共に自己新の日本人学生歴代2、3位だった。2位の田沢は東京五輪代表の3枠目の可能性を残した。

レベルアップした学生たち、思い出すあの走者の気迫

 学生チャンピオンの夢は、今回はかなわなかった。しかし、堂々と主役を演じた鈴木は「自分でも驚きの結果。もっと上を狙えるとわかったので、今後も田沢さんの背中を追いかけたい」と語り、田沢も「ここまで来たら東京を狙い、経験をパリ五輪へつなげたい」と決意を固めた。

 日本選手権男子1万メートルで、強く印象に残っている学生が2012年、当時早稲田大の大迫傑(ナイキ)だ。第一人者だった佐藤悠基(SGホールディングス)と大接戦を演じ、0秒38差の2位に終わると、突っ伏した赤茶色のトラックを殴りつけて悔しがった。あの気迫が、今につながってみえる。

 昨年の日本選手権を制して東京五輪代表を決めた相沢晃(旭化成)は東洋大を卒業して1年足らず、今年の伊藤も東京国際大を出て2年目だ。田沢、鈴木をはじめ今の学生たちが、大迫のような気迫を持って挑めば――。1万メートルで学生が日本チャンピオンとなる日も、そう遠くないはずだ。

筆者プロフィル

近藤雄二(こんどう・ゆうじ)1968年生まれ。早大時代に箱根駅伝3度出場。2019年にフルマラソンで2時間44分16秒をマーク。

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2057839 0 ニュース 2021/05/17 15:00:00 2021/05/18 11:35:56 2021/05/18 11:35:56 男子1万メートルで2位になった駒大の田沢廉(左)と3位の鈴木芽吹(3日、エコパスタジアムで)=関口寛人撮影男子1万メートルで2位になった駒大の田沢廉(左)と3位の鈴木芽吹(3日)=関口寛人撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210517-OYT1I50055-T.jpg?type=thumbnail

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