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東京五輪メダルに挑む箱根駅伝・10人の侍…「転んでも日本新」の三浦龍司ら

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 いよいよ地元東京五輪がスタートする。陸上の日本代表には箱根駅伝経験者10人が名を連ねたが、悲願の日本人メダリストは生まれるのか。現役学生、OBたちの世界への挑戦が待ち遠しい。(編集委員 近藤雄二)

男子3000メートル障害に出場する現役大学生ランナー・三浦龍司(左)と、男子マラソンに出る箱根駅伝経験者・大迫傑
男子3000メートル障害に出場する現役大学生ランナー・三浦龍司(左)と、男子マラソンに出る箱根駅伝経験者・大迫傑

三浦でわずか4人目 現役学生のオリンピック出場

 転んでも日本新――。東京五輪代表をかけた6月の日本選手権で、順天堂大の三浦龍司(2年)が、こんな痛快な走りを見せてくれた。

 男子3000メートル障害決勝のラスト1周直前だった。水ごうを跳び越えてからの3歩目、前へつんのめってヘッドスライディング。2人に抜かれた。しかし、すぐさま立ち上がると猛ダッシュ。次の障害までに2人を抜き去ると、残り400メートルで一気に差を広げる快速スパート。5月に自身が作った記録を1秒47上回る8分15秒99の日本新記録で、何事もなかったように代表の座をつかみとった。まさに漫画のような逆転劇に、あっと驚き、あっけにとられた。

 今季の世界ランクは15日現在で16位。8位との差は4秒弱で、入賞は十分可能なレベルと言っていい。しかも、転んでのタイムでだ。

 「東京五輪は自分には少し早いかと思っていた。1年ずれて巡ってきた、せっかくのチャンスなので、しっかり勝負していきたい」と三浦。コロナ禍を急成長の機会に結びつけた19歳の潜在能力には、本当にワクワクさせられる。

 やすやすと大舞台へ進んだように見える三浦だが、現役学生が五輪の長距離種目で代表になるのは、きわめて難しい。箱根を走った現役学生の五輪出場は、リオデジャネイロ大会同種目の順大・塩尻和也(富士通)に続く2大会連続ながら、1964年東京五輪以降の57年で、わずか4人目にすぎない。学生が社会人の実力者を押しのけて五輪に出場するのは、長距離ではそれほどの難題なのだ。

最強布陣 男子長距離全ランナーが箱根を経験

 では、東京五輪に出場する社会人も見てみよう。今大会、マラソンを含めた長距離種目での五輪代表は計10人。何と全員が箱根を走ったランナーたちだ。

 中でも活躍が期待されるのが男子マラソン。日本歴代2位の2時間5分29秒を誇る早大OB大迫傑(ナイキ)、2019年9月の代表選考会を制した駒大OB中村匠吾(富士通)、2位だった東洋大OB服部勇馬(トヨタ自動車)の3人は、過去最強クラスの布陣だ。

 「大迫は五輪や世界選手権を経験して場数を踏んだリーダー的存在。中村は暑ければ暑いほど力を発揮する。服部は機関車のように上下動がなく後半の5キロが非常に強い。3人のチームワークで何とかメダルに届かせたい」。そう語るのは、日本陸連マラソン強化戦略プロジェクトの瀬古利彦リーダー。コースは札幌に変わったが、地元の地の利を生かし、チームジャパンで表彰台を狙っている。

 今年正月に97回目を迎えた箱根駅伝は、日本初のオリンピアン 金栗四三かなくりしそう が1920年、世界に通じるランナー育成を目指して創設した。しかし、これまで箱根を経験した五輪メダリストは、36年ベルリン大会男子マラソン銅の 南昇竜ナムスンリョン (明大)しかいない。南は当時日本の統治下にあった朝鮮半島の出身。つまり、日本出身の箱根ランナーからは、まだ五輪のメダリストは一人も生まれていないのだ。

 今大会、10人の経験者を送り出すように、金栗の描いた箱根駅伝創設の思いは、確かに現在にまでつながっている。創設から101年目に開かれることになった地元東京五輪で、ついに悲願の日本人メダリストが生まれるのか。箱根ランナーたちの奮闘を、しっかり見届けたい。

近藤雄二 (こんどう・ゆうじ)1968年生まれ。早大時代に箱根駅伝3度出場。2019年にフルマラソンで2時間44分16秒をマーク。

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2218465 0 ニュース 2021/07/19 15:00:00 2021/07/19 15:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210719-OYT1I50084-T.jpg?type=thumbnail

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