前代未聞の箱根駅伝「師弟リレー」は「忘れられない1ページ」…駿河台大・今井隆生から永井竜二へ

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 青山学院大が大会新記録で6度目の優勝を飾った第98回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝=読売新聞社共催)。強豪の圧勝劇の裏側で、中学教諭と教え子の「師弟リレー」が実現した。箱根駅伝のもう一つの物語、「アナザー・ストーリー」として記す。

駿河台大4区の今井隆生(左)からタスキを受け、笑顔で走り出す永井竜二
駿河台大4区の今井隆生(左)からタスキを受け、笑顔で走り出す永井竜二

心理学を学ぶ休職中の中学教諭、かつてはトライアスロン選手

 顔をゆがめながら中継所に駆け込んだ駿河台大の4区今井隆生(31)が「頑張れ、頼んだ」と声をかける。「はい」と答えて5区の永井竜二(21)が飛び出していった。歴史的な「師弟リレー」が実現した瞬間だ。

 今井は埼玉県で保健体育を教える中学教諭。自らの指導法に限界を感じ、「心理学を学んで指導に生かしたい」と県の休職制度を利用して駿河台大に編入した。駅伝部は、以前から交友のある徳本一善監督に誘われて入った。「箱根に挑戦できるのは本当にありがたいなと思った」。そこで、6年前に埼玉・越生中で駅伝などを指導した元教え子に再会した。

 徳本監督は「この2年間、心理学を勉強しながら、よく頑張ってくれた今井に、師弟リレーをさせてやりたかった」という。教職に就く前、トライアスロンで五輪代表を目指していた今井は、年下のチームメートたちに「準備の大切さ」を説き、いつも率先して厳しい練習に取り組んできた。監督と選手の間を橋渡しするような存在は、初出場の原動力になった。

箱根にかける思いもつなぐ

 10月の予選会の前後から不調が続いていた今井は、順位を二つ落として最下位の20位でたすきを渡した。当初は走る予定ではなかった山登りの難路に挑んだ永井も、最後まで順位を上げることはできなかった。

 悔しさを交えながら、2人は笑顔で振り返った。4年生の今井は「きつい走りになってしまって永井には申し訳なかったが、箱根でたすきをつなげたことは、一生の忘れられない一ページになった」と感激していた。3年生の永井は「師弟リレーが本当に実現するなんて思っていなかったので、うれしかった。私生活すべてで箱根駅伝を第一に考える今井さんの姿勢は、自分たちの経験や知識につながった」と感謝した。

 たすきとともに、箱根にかける強い思いも、リレーされていた。(小石川弘幸)

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2670783 0 ニュース 2022/01/13 11:30:00 2022/01/13 12:39:32 4区、駿河台大・今井隆生(左)からタスキを受け、笑顔で走り出す5区、駿河台大・永井竜二(2日、神奈川県小田原市で)=菅野靖撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/01/20220113-OYT1I50039-T.jpg?type=thumbnail

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