箱根駅伝
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さわやかな風が若葉を渡り、新体制の強化が進む各チーム。その活力源になる各校期待の新人の中、世代トップのスーパールーキーが、鮮烈な走りで別格の存在感をいきなり示した。(編集委員 近藤雄二)

佐藤圭汰・洛南高出身、延岡で快走
南国の夜風も冷え込んだ午後9時過ぎ。実業団の海外勢がしのぎを削る大集団に、高校を出たてのランナーが必死に食い下がっていた。
宮崎県延岡市で5月4日に行われた、ゴールデンゲームズinのべおか。男子5000メートルの最速組に登場したのが、この春、京都・洛南高から駒沢大入りした大型新人、佐藤圭汰だった。ペースは紛れもなく国内最高レベル。今夏の世界選手権参加標準記録13分13秒50を視野に、100メートル16秒前後の高速ラップが刻まれる。昨年、13分31秒19の高校記録を作ったとはいえ、大学1年生には速過ぎる展開だ。
しかし、佐藤は引かない。日本人では、最終的に13分10秒69の日本歴代2位でレースを制した遠藤日向(住友電工)と2人で、10人以上のアフリカ勢が競う集団で粘った。残り3周で脱落したが、ゴールは13分22秒91。自己記録を8秒以上縮め、U20(20歳未満)日本新記録をマークした。
「一番きついところで遠藤さんに離されたのが反省点ですが、スタミナに少し不安がある中、想定通りにベストが出せたのは良かったです」。未知のハイペースへ挑む姿にも目を見張ったが、快記録をぼくとつと「想定通り」と言うことに、また驚かされた。

メインは1500M
実は今季、佐藤がメインに据えるのは1500メートルだ。昨年作った高校記録3分37秒18は、世界選手権の標準記録3分35秒00まで2秒あまり。その壁を突破し、世界に挑むことを今年の目標としている。
ただ、この春のベストは3分41秒71。進学で環境が変わり、まだラストの切れ味を磨ききれていなかった。その中で迎えた5000メートル。持久的な練習は不十分ながら、今年の箱根駅伝1区で独走した吉居大和(中央大3年)のU20日本記録を破り、「これは自信になります。1500メートルの標準記録突破への弾みにしたいです」と力強く語った。