軽自動車のイメージ一新、乗り心地も上質 日産「ルークス」(Vol.595)
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日産自動車の軽自動車「ルークス」は、昨年発売されたハイトワゴン「デイズ」をベースとし、「デイズ」より車高を14センチ高くしたスーパーハイトワゴンというタイプである。三菱自動車との合弁会社「NMKV」で開発され、両社で独自の商品性を加えて販売している。なので、三菱の「eKクロス スペース」と兄弟のクルマである。

今回試乗したのは、「ハイウェイスターX プロパイロットエディション」だ。
エンジンは、直列3気筒自然吸気で、これに日産が「ECOモーター」と呼ぶモーター機能を備えた交流発電機を組み合わせたマイルドハイブリッドを備えている。モーターだけの走行モードはないが、減速時の回生で発電した電気をリチウムイオンバッテリーに蓄え、加速の際などにエンジンの力を補助する機能を持つ。
ターボチャージャーの過給を加えたグレードもあるが、今回の試乗したのは自然吸気エンジン車だった。「ECOモーター」により、クルマは滑らかに走りだし、速度を上げていく。また、むやみにエンジン回転を上げずに済むので、室内の静粛性も保たれる。
ただ、きつい上り坂や、高速道路の流れに乗ろうと加速を高めた際には、エンジン回転数が毎分3000~4000回転付近まで上がり、エンジン騒音を感じることになる。
全高は、1.78メートルもあって、私の身長を超えている。これほど車高が高いと、走行中のハンドル操作時や強い横風を受けると、走りがふらつく懸念がある。実際そうした走りになるスーパーハイトワゴンも存在する。だが、このクルマは試乗中、そのような現象はなかった。
「デイズ」より進化したと感じたのは、乗り心地だ。「デイズ」は、乗り心地にやや硬い印象があった。ところが、より背の高い「ルークス」は、乗り心地にしなやかさがあり、上質ささえ覚えさせたのであった。
後席に座っても、乗り味のよさは変わりない。後席は前後の移動調整量がたっぷりとられ、最大限後方まで動かすと足を組んで座れるほど足元にゆとりができる。逆に、もっとも前方へ移動させれば荷室の積載容量をより多く稼げる。他メーカーのスーパーハイトワゴンでは、後席を一番後方に移動させると、後輪の真上に座るようになるため、振動を大きく受けやすいものがある。しかし、「ルークス」は、どの位置に調節しても、乗り心地に変化はなく、快適であった。

また、背もたれが垂直近くになり、荷室の積み込みやすさが向上している。さらに、この角度は、後席に正しく座る姿勢をもたらし、疲れにくい。もちろん、この角度が苦手な人は、角度調整ができるようになっている。
乗り味だけでなく、「デイズ」以来、内装の質も高く、上級車種のような趣も魅力だ。
ただ、車両価格は試乗車で184万円超と高額になった。しかし、運転支援機能の「プロパイロット」を装備し、高速道路の運転が楽になった。普通車なみの装備がついて、高速道路では軽自動車料金で走れるので、実はお得かもしれない。
安くて経済的だが、装備はやや貧弱といった従来の軽自動車のイメージは、もはやない。軽のスーパーハイトワゴンを選ぶ理由は十分にあると実感させられた。
