心地よい運転にフランスのクルマ文化を感じた ルノー「メガーヌR.S.」(Vol.621)

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 フランスのルノー「メガーヌ」は、ドイツのフォルクスワーゲン「ゴルフ」と競合するハッチバック車だ。試乗したのは、高性能車種の「メガーヌR.S.」である。ちなみに「R.S.」とは「ルノー・スポール(英語のスポーツ)」という意味で、同社のモータースポーツ活動などを行っている子会社が開発に関わったモデルだ。

低く構えた精かんな姿が、高性能車としての迫力を伝えてくる
低く構えた精かんな姿が、高性能車としての迫力を伝えてくる

ガソリンターボエンジンは、どの回転からも応答してくれ、運転しやすかった
ガソリンターボエンジンは、どの回転からも応答してくれ、運転しやすかった

 マイナーチェンジにより、排気量1798cc、直列4気筒のガソリンターボエンジンは最高出力が従来の279から300馬力へ向上した。変速機に6速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)を使い、前輪駆動としている。

 四輪操舵の技術を採用し、時速60キロ未満でハンドルを切ると、後輪が前輪と逆方向へ2.7度向きを変える。これにより低速で小回りがきくようになった。一方、時速60キロ以上の高速走行時には、前輪と同じ方向へ1度向きを変え、走行安定性を高める。

 エンジンを始動すると、いかにも高性能エンジンといった低音で勇猛な排気音が (とどろ) く。車内にいる限りは、うるさいというほどの音量ではない。しかし、車外では、小型ハッチバック車といえども、ただものではないと感じるほどの迫力ある音だ。

ハンドルの傾きを確認できるよう、頂点には赤い印が付けられている
ハンドルの傾きを確認できるよう、頂点には赤い印が付けられている
排気管はリアバンパーの中央部分に集められている。その両脇の形状が空力効果を高めている
排気管はリアバンパーの中央部分に集められている。その両脇の形状が空力効果を高めている

フランス車特有のゆったりとした前席だが、自分にはやや大きく体が落ち着かなかった
フランス車特有のゆったりとした前席だが、自分にはやや大きく体が落ち着かなかった

 乗り心地は、高性能車特有の硬めなのだが、跳ねてしまうほどではなく、路面の凹凸による上下動を抑え、高速走行でも操縦安定性を維持してくれた。

 エンジンは低い回転数からでも十分な力を出し、安心感がある。高速道路の合流でも、わずかなアクセル操作で本線の流れにすぐ乗れるので、緊張せず、運転しやすい。高性能車とは、必ずしも超高速で猛然と走るだけでなく、そのゆとりによって快適な運転ももたらす。そうした普段の走行ではエンジン音はほとんど気にならない。

後席は、サイズもちょうどよく快適だった
後席は、サイズもちょうどよく快適だった
日常的な実用性は確保された荷室
日常的な実用性は確保された荷室

 山間の屈曲路へ入り、アクセルペダルを深く踏み込むといよいよ本領を発揮する。ターボチャージャーが全力で過給し、300馬力の威力を伝える加速をもたらすが、恐怖心はみじんも感じなかった。硬めに感じた乗り心地のサスペンションが確実に路面をとらえている感触を伝えてくるからだ。自然吸気エンジンのように滑らかであり、DCTが段差のない加速を実現。四輪操舵によるカーブでの安定した走りと合わさり、高音で透き通るような排気音が夢心地にしてくれた。

 国内では見かける機会の少ないルノー車ではあるが、心地よい運転感覚は、広々とした平野が広がるフランス郊外の道を走る快さを想像させた。速度無制限というアウトバーンにおけるドイツ車の走りとは明らかに異なる。フランスのクルマ文化の奥行きの深さを味わうことができる高性能車だと思った。

御堀 直嗣
プロフィル
御堀 直嗣( みほり・なおつぐ
 1955年、東京都生まれ。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員等を務める。EV等にも詳しい。乗馬などを楽しむアクティブ派でもある。

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使い方
2164496 0 インプレッション 2021/07/06 05:20:00 2021/07/06 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210624-OYT8I50055-T.jpg?type=thumbnail

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