東京モーターショー(上) 自動運転 新しい車像提案
完了しました
24日開幕

第46回東京モーターショーが24日、東京ビッグサイト(東京都江東区)をメイン会場に開幕する。約180の企業・団体が出展する2年に1度の「クルマの祭典」。各メーカーは、電気自動車(EV)や自動運転車といった次世代分野の最新技術を披露する。(川口尚樹)
アバターと会話
EV市場を先導する日産自動車は、軽自動車規格のEV「ニッサンIMk」を世界初公開する。高速道路に加え、主要幹線道路でも運転支援機能を利用できる。仮想現実(VR)技術で、遠隔地にいる人の分身(アバター)を車内に投影し、会話を楽しめる「コネクティッド・カー」(つながる車)の機能も搭載する。
ホンダが披露する小型EV「Honda e」は、来年の発売を予定する量産モデルとして注目を集めそうだ。サイドミラーをカメラで代用する「カメラミラーシステム」を採用し、インパネには2画面の大型タッチ式モニターを装備。未来感あふれるクルマに仕上がっている。
マツダは、同社として初の量産EVを世界初公開する。三菱自動車も、得意とするプラグインハイブリッド車(PHV)のシステムを軽量、小型化して搭載した四輪駆動のスポーツ用多目的車(SUV)の試作車を出展する。独メルセデス・ベンツのブースには、EVブランド「EQ」シリーズの試作車「ヴィジョンEQS」が並ぶ予定だ。
クルマの使い方を一変させると言われる、自動運転車の実用化を見据えた各社の試みも興味深い。
トヨタ自動車は来年の東京五輪・パラリンピックの選手村で巡回バスとして使われる自動運転EV「イー・パレット」を展示する。人の輸送だけでなく、移動販売や物流といった多目的なサービスに使えるクルマを目指している。
運転席がない
スズキが参考出品する「HANARE(ハナレ)」は、家の「離れ」のようなほどよい大きさの室内空間で、運転席はない。くつろぎながら自動で目的地まで移動する使い方を提案する。
ダイハツ工業は、公共交通に使う小型の自動運転車「IcoIco(イコイコ)」を初公開する。細い道でも移動可能で、買い物など近場の移動でも気軽に使える乗り物を目指している。
未来の生活体験
車以外の企業 約60社が出展

今回の東京モーターショーは、新型車や試作車の発表だけでなく、未来の生活を体験できるテーマパークを目指したのが特徴だ。
象徴的なのが、電機メーカーや通信会社、サービスなど自動車メーカー以外の企業を集めた「FUTURE EXPO」のエリア。NTTやパナソニック、NECなど約60社が出展し、最新技術を集結させる。
NECはカメラによる顔認証で買い物ができる店舗を設けるほか、「空飛ぶクルマ」の試作車を披露する。NTTのブースでは、最新の映像通信技術を活用し、まるで競技会場にいるかのような臨場感を味わえるスポーツ観戦を体験できる。
対戦型ゲームで腕を競い合う「eスポーツ」の大会が開催されるほか、子どもたちに職業体験を提供する「キッザニア」と自動車メーカーが協力し、カーデザイナーや自動車の製造ラインの体験ができるコーナーもある。
主催する日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は「かつては車を買いたい人がたくさん来て、メーカーは新しい車を置くだけだった。今回はただ見てもらうだけでなく、未来を楽しんでもらいたい」と話し、来場者数は前回の77万人を大きく上回る100万人超を目指している。
会場は2エリア 超小型車などで移動も


会場は、東京・台場地区の青海エリアと有明エリアの2か所。各メーカーの展示や発表は、青海エリアの東京ビッグサイト青海展示棟と、有明エリアの東京ビッグサイト西―南展示棟で行われる。
二つのエリアをつなぐ約1.5キロの「オープンロード」では、トヨタ自動車や日産自動車が開発する超小型車や、電動キックスケーターに試乗しながら移動することができる。
初日の24日は業界関係者ら向けで、25日午前9時から午後2時は2万5000枚限定の特別入場券(3800円)が必要なプレビューデー。
一般公開は25日午後2時からで、入場券は大人2000円、午後4時以降は1000円。高校生以下は無料。