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空撮取材の舞台裏、機体の秘密から格納庫の中まで「操縦席からの景色」番外編

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 ヘリや小型ジェット機に乗って空撮写真を撮る。カメラマンでなければ、そんな機会はめったにありません。そこで今回、空撮取材に同行して「操縦席からの景色」の舞台裏を見てきました。高速で飛ぶジェット機からどうやって空撮写真を撮るのか、上空でパイロットたちはどんな会話をしているのか。格納庫から機体の中までお見せします。

羽田空港の格納庫を360度カメラで初公開

 JR浜松町駅から羽田空港行きのモノレールに乗ると、整備場駅に着く手前に、産経、読売、朝日、毎日の順に新聞社の格納庫が並んでいるのが見えます。読売の格納庫には、ジェット機1機とヘリ2機が入っています。取材現場や状況に合わせて乗る機体を使い分けます。

 トラックに積まれた発電機は、ジェットエンジンの始動時に使います。今回乗るのは、翼にJA560Yと書いたジェット機「みらい」で、翼の端についている赤い布は避雷針です。格納庫内には、フォークリフトやクレーン、年季を感じさせる天井も見えます。赤い丸を押すと、その地点で撮影した360度写真が見えます。

空撮には準備が大事、みなぎる緊張感

 今回の空撮取材は、新潟県で配る紙面に載せる「わがまち空から」という企画の取材で、狙いは佐渡空港を写すこと。「空港を手前に、奥に加茂湖の一部が写る感じで」という依頼です。天気予想図や紙面掲載日などを考えて取材日を決め、カメラマンとパイロットでどの角度からどう撮影するのか事前にイメージを共有します。

 航空取材は危険を伴うもの。不意の天候悪化やトラブルに備えるとともに、撮影用のハッチから落ちないよう上体もしっかり固定するシートベルトは必須です。ジェット機後方からはブラストと呼ばれる高温の排気が出るため、乗降時も注意が必要です。

 航空取材を安全に行うためのマニュアルがあり、それに基づき、出発前には搭乗者全員(機長、副操縦士、整備士とカメラマン)で、どんなルートをどう飛ぶかの飛行計画書を必ず確認します。全員ミーティングは10分弱ですが、ピリッとした緊張感があり、命を預けて飛ぶという言葉が浮かびました。

副操縦席の操縦かんには区分航空図
副操縦席の操縦かんには区分航空図

 格納庫の扉の外は、羽田空港の滑走路。「みらい」には、機長席と副操縦士席のほか座席が8席ありますが、重さのバランスを取るため、決められた席に座ります。行きの副操縦士をつとめる大谷典正パイロットから「結構揺れます」と言われ、酔い止めを飲みました。

 10時過ぎに羽田空港を飛び立ち、佐渡までは約1時間。飛行中は東京管制部や新潟空港の管制官と、副操縦士が機体の位置や到着予定時間などを細かくやり取りする声が聞こえます。その声に機長の鈴木浩亮パイロットが親指を立てて「OK」マークを出す姿が頼れる感じです。

機長席の後ろにある撮影用ハッチ
機長席の後ろにある撮影用ハッチ

 この日は気流が安定し、機体の揺れはあまり感じません。「佐渡が見えてきました、天候は大丈夫そうです」と鈴木パイロットが声をかけると、小早川章悟・整備士が機体左側、操縦席の後ろの下側にある「ハッチ」を開ける準備をします。

上空でハッチオープン、「ゴー」と風音…地上が斜めに

 上空でハッチを開けるのは、報道用の機体の特殊な仕様です。機体内外の圧力差を調整した上で、小早川整備士がハッチを手前に引くと、ポンという音。青空と流れる雲が間近に見え、ゴーと風音が響きました。

経由する地点や行先を入力
経由する地点や行先を入力

 撮影時には少し速度を落としますが、時速200キロメートルを下回ると墜落する危険があります。狙ったアングルの写真を撮るために、カメラマンとパイロットがインカムで「もう1回、今の角度でお願いします」「わかりました」と話しながら、高度や角度を調整。大きく旋回すると、機体が斜めになり、窓から地上の田んぼが傾いて見えました。 望遠レンズをつけた一眼レフで撮るカメラマンは、レンズがハッチから出ないようにします。レンズが外側に出ると風圧で飛ぶので危険だからです。その状態で何度もシャッターを切ります。「機体に流れ込む風を受けながら撮るので、涙が出て、風で流れていくんですよね」と小林武仁カメラマン。

 旋回といってもジェット機なので、半径1キロメートルほどの大きな円を描きながらの撮影です。シャッターを切るのは小林カメラマンですが、旋回しながらいろんな角度から何枚も撮るうちに、機内の皆が一体となってファインダーをのぞいている。そんな気持ちになります。

 「OKです」という小林カメラマンの声を合図に、佐渡空港を離れ、幻想的な近代化遺産「北沢浮遊選鉱場」のほか、断崖が連なる尖閣湾、島の突端にある大野亀を空から撮影して、取材は終了。新潟空港で給油をして午後に羽田に戻りました。

 旋回時に揺れましたが、緊張していたからか乗り物酔いはしませんでした。後日、紙面掲載されたのはこちら。もし、新聞で空撮写真を見かけたら、こうやって撮っているのだと思い出してもらえたら、うれしいです。(配信部 大森亜紀)

 ※360度の画像の見方 パソコンの場合は、画面上にカーソルを置いてドラッグすると上下左右に視点が移動します。画面に表示される矢印や案内図の丸印、縮小写真をクリックすると別の地点の画面に切り替わります。スマートフォンでは、指でマウス同様の操作ができます。

無断転載・複製を禁じます
2115875 0 操縦席からの景色 2021/06/11 17:15:00 2021/06/12 01:12:28 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/サムネイル佐渡名勝.jpg?type=thumbnail

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