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豚骨ラーメン発祥の地とされる福岡県久留米市で、ラーメンと並ぶご当地グルメとして人気なのが久留米焼きとりだ。提供店は市内に200以上ある。
豚の腸は「ダルム」、心臓は「ヘルツ」

焼きとりといっても、具材は鶏肉だけでなく、豚や牛、野菜、魚介類などバラエティーに富む。串に刺せば何でも焼きとりなのだ。
ホルモンの串も多く、豚の腸を「ダルム」、心臓を「ヘルツ」などドイツ語で呼ぶのも特徴。その昔、市内の大学の医学生がドイツ語で注文した名残という。

西鉄久留米駅から歩いて約10分の串焼ほたる川を訪ねた。串のメニューは約60種類。ダルムにヘルツ、エビに加え、煮込んだゴボウを詰めた丸腸ごぼう、しそ巻、トマトベーコン巻などの創作串をいただいた。
風味づけと臭み消しに…地酒の酒かすとニンニク
ダルムは厚みと弾力があるため、下処理として2時間ほどゆでて食べやすい軟らかさにする。その際、風味づけと臭み消しで、地酒の酒かすとニンニクを入れるという。たれ焼きもうまいが、塩焼きはかむほどに味がしみ出てきて病みつきになりそう。酢じょうゆだれがかかったキャベツでさっぱりと口直し。

串の盛り合わせは、バラやとりみ、つくねなど7本(1375円)と、ダルム、丸腸を加えた9本(1903円)の2通りがある。
筑後地域の焼きとり店など有志の久留米焼きとり文化振興会副会長で、店主の原田憲一郎さん(51)は「安くていろいろな食材を味わえる焼きとりは、子どもから大人まで幅広い世代に愛されています」と郷土の味をPRする。
こちらもオススメ…組み合わせ絶妙の「梅じゃこ飯」

締めは梅じゃこ飯(495円)。ちりめんじゃこのつくだ煮と刻み梅、大葉の組み合わせが絶妙で箸が止まらなかった。
かつては屋台で出され、工場労働者の胃袋を満たしたという久留米焼きとり。ラーメンとともに豊かな食文化を感じさせる一品だ。
※税込み。記事中の値段などは紙面掲載時のものです。
国内外の総支局長が、日頃通っている店のおすすめメニューなど、地域の自慢の味を紹介します。
串焼ほたる川
福岡県久留米市蛍川町1の8